# リレーSS 参加ID一覧

# 978(ネタ振り) : Nrj+UWWF様

# 981 : qs2GqW2X様

# 983 : SOLHpocl様

# 984 : UBk/h5sq様

# 985 : qquRfeGp様

# 012 : ajToOkQs

# 034 , 032 : Gotg3HZS様

# 038 , 039 : D2aocudk様


# (以下本編)


981 :名無しさん@ピンキー:2008/07/08(火) 23:32:06 ID:qs2GqW2X

どうしてこんな事になったのだろう。

余りに非常識な出来事の連続に真っ白になりかけた頭で、ぼんやりと事の経緯を思い出す。


―そうだ。

私は森へ向かったんだった。

蜘蛛打ちを持って、沙羅の森に入って。

不意に感じた視線に振り返ってみれば、見慣れない生き物が今にも私に飛びかからんとしていて。

とっさに叩き伏せたものの、よく見てみればゆうに十を越す数のそれに私は囲まれていて。

必死の思いで囲みから逃げ出して、でも振り切れなくて。

肩と足に傷を負って、もはやこれまでかと思ったその瞬間現れた同世代の少女。

特撮か何かのような人間離れした動きで何かを振るい、今さっきまで私を引き裂こうとしていた化け物を全て切り伏せて。

それで、私は助かった。


と、思ったのに。


「んぅ……なん…で……あつッ」


何でだろう。

今私はその少女に抱きすくめられ、肩の傷を舐められている。


艶かしく私の血を舐め取るその舌が、不意に傷を抉るような動きを見せ、私は軽く身をよじる。

ごめんね、とばかりに傷を唇で閉じる様に口付け、傷から滲み出た血を舐め取る。

傷を刺激したのは血を出させるためか。

私の血に取りあえず満足したのか、ようやくそこで口を開く。


「何でって…おいしそうだったんだもん」


ふふ、と笑って、私の肩に顎を乗せながらそう囁く。

サクヤさんは帰っちゃったし、と私には理解出来ないことを呟きながら私の髪を弄ぶ。

さっきの異形とはまた違った恐ろしさを感じた私は、蛇に睨まれた蛙のように動けない。


つっ、とその細くて白い指が私の首筋から顎をなぞる。

背筋が粟立つのは恐ろしさからか、それとも首筋を伝う指のせいか。


「ほら、あなたの血…こんなに甘いんだよ」


そのまま私のおとがいを指で持ち上げる。

無抵抗の私を横に向かせ、何の躊躇いもなく口付けた。


唇同士の浅いキスから、そのまま舌を差し入れてくる少女。

歯茎をなぞり、舌を絡め、唇を甘噛みする。

未だ逆らえない私を遠慮なく蹂躙した彼女の舌は、そのまま私と彼女を繋ぐ橋となる。


口の中に流し込まれる、ちょっとだけ粘性の液体。

彼女の唾液と、それに混じった鉄っぽい味。

今までの人生で何度か口にした、自分の血の味。

別段美味しいと思ったことも無かったけれど、この目の前の少女の口から口移された液体は私の喉から順に下へと流れ、私の体を内側から火照らせて。

口では無い。

喉が、胸が、下腹部が、甘く疼いてたまらない。

これをまた飲みたい、もっと味わいたい。


私の頭に冷静な部分が少しでも残っていれば、この状況に危険を訴えただろう。

けど、彼女との口付けと、その唾液の甘みが、私の最後の理性を蕩かした。

白く霞がかった私の頭は何の疑問も警告も発することは無く。

私の口は、場所も状況も忘れてただ欲望に従い言葉を紡いだ。


「もっと…もっと、頂戴……」


983 :名無しさん@ピンキー:2008/07/09(水) 00:50:52 ID:SOLHpocl

 保美は目の前の光景に目を見張る。せりあがる悲鳴をやっとの思いで飲み込んだ。

 視線の先には梢子と見知らぬ少女がいた。影は重なり一つとなり――「あっ……んん」吐息の音と共に、膨らんでは縮み、うねうねと蠢く。二体の蛇が重なり合った様のようだった。

 保美は愕然とする。声を出しているのは梢子だった。少女が首筋に舌を這うごとに嬌声を出し、唇を防ぐと黙って受け入れる。続けて聞こえるのは唾液が交じり合う音。

 幻を見ているのではと保美は思った。妖の術に嵌ったのではと。やはり梢子の言うとおり危険だから来るべきではなかったのではないか。

 しかし今の状況がもし現なのだとしたら。

 だったら助けないと、保美は最大限音を立てないように注意しながら傍にある木に身を横たえ、意識を外へと集中させる。するとふっと体が軽くなり、自身を見下ろす己に気づく。脱魂は上手くいったようだ。

 霊体なら少女も気づかないだろう。二人は相変わらず唇を重ねたまま水音を立てていた。目をそむけなくるのを堪えて梢子の身に降りる。意外にも大きな抵抗も無く保美は梢子の中に入った。そして察する。梢子の中の力が極端に減っていた。身の血と共に。

 このままでは梢子の魂魄が全て失われてしまう。保美は梢子を逃すために足に力を入れようとした。しかし動かない。

お願い――必死に梢子の体を動かそうとするも、

「ふふっ……いけない子はだーれだ」

 突然の少女の声がそれを遮った。少女は瞳をまっすぐに、まるで透かす様に梢子の中にいる保美を視ていた。

その眼差しに保美の心は縫いつかされる。駄目、おかしくなる。

「いけない子にはお仕置きをしないと」

少女は呟いて、梢子の上着の中へと手を滑らし、荒々しく梢子の乳房を揉みしだいた。

「……っ!」声を出したのは梢子で、悦びで身を綻ばせたのは二人。

 少女は乳頭を指で挟んだまま乳房全体を回し、締めに乳頭を擦るのを繰り返す。

すぐに先端は硬くなった。すると少女は先端を押し潰して擦った。

 そして保美の魂は梢子の身体と共に少女の愛撫に翻弄され、快楽の波に攫われ、意識を溶かした。


984 :名無しさん@ピンキー:2008/07/09(水) 05:16:06 ID:UBk/h5sq

「おおっと、そこまでにしてもらおうか」

足音も立てずに新たな人影が現れた。ラフな格好に色の抜けたショートカット。手には釣り竿、いやさ棍が握られている。

おどけた口調とは反対に、視線は冷たい。まるでどこかの誰かの様に、右目が光って見えた。

だが梢子を抱いた少女は、まるで来るのが解っていたかのように微動だにしない。どころか、口角を上へ上げている。

「あんた剣鬼の仲間?かよわい女子高生に不埒な悪行三昧なんて、全くとんだ淫鬼ねえ」

準備運動でもするように喋りながら棍をゆっくりと回す。その淀みない回転からも練度の高さが伺える。


「なあに?あなたもして欲しいのかな〜?」

内心の動揺をおくびにも出さず、少女は答えた。こいつは危険だ。そう少女の感覚が告げていた。

付け焼き刃の剣で目の前の少女を倒せるだろうか。

いや、逃げられるだろうか。


985 :名無しさん@ピンキー:2008/07/09(水) 09:09:02 ID:qquRfeGp

ぬちゃぬちゃ、と。そんな湿った音に保美は意識を浮かび上がらせた。

最初は雨音かと思ったのだが、それにしては何か音が重い。

普段の自分ならば、ここで目蓋を開けるまでに時を要するのだが、それが嘘のように。

ああ、今日は調子が良いな、と。そんなことを思ったりもしたのだが。

やはり調子は良くないのだろう。

起きたと思ったのに夢を見ている。

自分が見も知らぬ少女と、口づけを交わしている。

腰まで届く髪を、後ろで流し分けている少女。その髪の色は少し色素が薄く、あの短い黒髪とは似ても似つかぬ。

どうして梢子先輩じゃないんだろうと、ぼんやりそんなことを思った。

ぬちゃり、と。

少女から口を離した保美が、唇から透明な液体を、つ、と流しながら口を開いた。


「桂、憑いた方がどうやら目を覚ましたようよ」


そんな自分とは全く違う口調で。

ここに至って保美は状況を思い出した。


(そうだ、確か先輩を助けようとして……)


脱魂して梢子の身に取り憑いたのだ。

思い出したのは良かったが、体は少しも保美の思い通りに動かすことが出来ない。

うあぁ、と。口を開いても漏れ出るのは、意味のない微かな呻きだけだ。

その様な状態で眼前に繰り広げられるのは、己の身に絡む見知らぬ少女と、それに伴いはしたなく声を上げる自分の身体。

恍惚にとろける表情は、自分で見たこともないほど妖しく歪み。

乳房にむさぼり付く少女を、さも愛おしそうに抱きかかえる自分の身体。

誰かに助けを。そう思いはしても口を利くことも出来ず。

辛うじて眼を傍らにやれば、そこに横たわるのは見覚えのある顔。

汀だ。

それは百子をからかうネタにもしていた豊かな胸を、夜空の元惜しげもなく晒した状態で目を閉じている。

ダメだ、と。梢子よりも汀の腕が立つのは朝の稽古の時に知れていた。その汀がこの様では。

保美は助けの来ないことを思い知らされた。


「桂、調子に乗って吸い過ぎよ。そこの娘の力が薄まってるわ」

「あれ?そんなに吸ったつもり無かったんだけど……。

 おかしいな」


そんなことを良いながら、薄笑みを浮かべた少女が、保美に、梢子に、近付いてくる。

四つん這いで、にじり寄る。

薄笑みを浮かべている少女は、自らの唇に歯を走らせ、ぷくりと、球を浮かび上がらせた。

つ、とその唇から流れ落ちる、アカイイト。

それへ少女は舌を伸ばし、自らの口に含む。

その唇を梢子の口へと寄せ。中の物を梢子へと注ぎ込む。

こくりと。思わず梢子の喉にそれを流し込む保美。

その途端、体の中から力が沸き上がるのが判った。

しかし、それは冬空の元、ガラス一枚隔てた先に暖炉が赤々と燃え上がるのを見るように。

保美にはその沸き上がった力を、どのようにも使うことが出来なかったのだった。


12 :名無しさん@ピンキー:2008/07/09(水) 22:24:07 ID:ajToOkQs

 覚醒を促したのは、懐かしさをも感じる味か匂いか。

 悪夢がさめた後に見ているものは、更に深い悪夢だった。


 見知らぬ少女に理性を絡め取られたことは、はっきりと覚えている。その後、なぜそんなことができるかは別として、保美が私の意識と同化したことは、なんとなくわかった。

 そして、汀が倒されたことも。

 ゆっくりと、怒りが私を埋め尽くしていく。

 保美や汀を、私の大切な友人達を、嬲り蹂躙した敵を許すわけにはいかない。

 未だに敵の支配下にある身体に鞭打ち、勢いを付けて間合いを取る。

 視線の端に引っ掛かった蜘蛛討ちを拾い上げる。

「誰だかわからないけど、許さないっ!」

 正眼に構え、薄笑いさえ浮かべる余裕のある少女を睨み付けた。


「へぇー、さすがねぇ。まだ歯向かう気あるんだ?」

 軽口に惑わされてはいけない。敵のペースに乗せられてはいけない。

「私の知り合いに、何をしたの? 何が目的なの?」

「あなたの血が欲しかっただけよ。なのに邪魔する方が悪いと思わない?」

「なにをっ!」

 話が通じる相手ではないことは、薄々わかっていた。ならば、勝算がなかろうと、攻撃あるのみ。

「でやぁぁっ!」

 先ほどまで敵の思うままに嬲られていたはずの身体が、やけに軽い。

 −−これは、血の力?

 保美に意識を任せている間に飲まされた、すべてを司る力の源。

 振り下ろされる蜘蛛討ちを、少女は紙一重の差で避けた。

 私がびっくりした以上に、向こうも意外だったようで、

「あらあら。敵に塩を贈り過ぎちゃったようね」

 台詞に余裕はあるものの、行動に焦りの欠片が見えた。

 もしかしたら、勝てる!?

 振り向きざまに袈裟懸けに振り下ろした蜘蛛討ちは、今度は少女の服を巻き込んだ。

 そのままの勢いで、突きを入れようとしたそのとき。

 バシッ!

 背中に衝撃を感じ、地面に倒れ込んだのは私の方だった。

 ……何? なぜ後ろから?

 痛みをこらえて首をよじると、棍を構えて反撃に備える新たな敵は−−

「み、みぎわ……!?」

 先ほどまで倒れていたはずの彼女は、目に妖しい光をたたえ、私を冷たく見下ろしている。

「なぜ……」

 聞かなくても予想は付いた。操られているのだ。敵に。正体もわからぬ少女に。

「汀、正気に戻って」

 私の言葉も聞こえないのだろう、次から次へと、無言で技を繰り出す汀。

 立つ暇もないこちらは、避けるのが精一杯、というより、避けられずに身体で受け止める方が多い。

 そして、目に見えない何かが、疾風を伴って私に飛んできた。

「!?」

 手と足に巻き付いたそれは、細い針金のようだった。もがいてもはずれず、逆に私の四肢を締め付ける。

血はにじみ痛みは突き抜け、自由と闘争心を奪っていく。

「やっぱり女のコは、見えない力に束縛されるより、道具を使った方が絵になるわね」

 汀に戦闘を任せていた少女が、動けない私の視界に入り、優しく微笑んだ。

「さて、続きはどうしようかな?」


34 :名無しさん@ピンキー:2008/07/12(土) 04:01:03 ID:Gotg3HZS

「くぅっ…」


頼みの綱の汀が敵に付き、自分はきりきりと身体を締め付けるワイヤーの中。

まさに絶体絶命、万事休すか…

でも、あがく他は無い。

私には、保美や他の部員達を守らなきゃならないのだから。


身体を僅かによじり、痛みの方向などから抜け道を探す。


「うふふっ…さあて、どうしてあげようかなー?」


こちらを怖がらせでもしたいのか、ゆっくりとした足取りでにじり寄ってくる少女。

時間が無い。

自棄になって、必死にもがく。

だが肌が裂けるのも構わず体を揺すり続けた甲斐あって、私の体はきりもみ一回転しながらどさりと床に落ちた。

幸い、汀はワイヤーを持って以来離れた位置に居るし、手元には蜘蛛打ちがある。

体はあの血のおかげか、まだまだ動く。

起き上がり様に横薙ぎし、いったん間合いを取って仕切りなおそう。

そう決め、跳ね起きようとしたその瞬間。


「ひゃっ!?」


体の中から突然沸きあがる、奇妙な感覚。

と言うよりも、体の中心に四肢の感覚が飲み込まれるような。

先ほどまで漲っていた力は一瞬にして失せ、それどころか立っていることすら出来ず崩れ落ちる。


「ふー、私を誰だと…って、知ってるわけないよね」


軽く額を拭いながら、えへへ、と軽い口調で語りかけてくる。

突然前のめりに倒れ、屈辱的にも少女に見下ろされるかたちになってしまった私。

いったいいつ、何をされたと言うのか。

唯一自由な視線で問い詰める。


「あなたが飲んだのはね、贄の血。

 化外の民に大きな力を与える、特別な血」


それがどうしたというのか。

けがい、というのが良く分からないけれど。

多分私の力が増したのがそのせいだというのは分かるが、私の疑問の答えにはならないだろう。


「私はね、遥か昔から受け継がれるこの血の力をね、自由に引き出して扱えるんだ。

 それこそ、小角様のように」


だから、その血を飲み、体の中に持つ私に影響を及ぼすことも出来るのだという。

もともと私には汀のように魔法みたいな力に対抗する手段が無いのだから、こうなってしまうのも当然だったのだろう。

歯噛みすることすら許されず、ただただ上目遣いに少女を睨みつける。


「せっかく助けてあげたし、可愛がってあげたのになあ。

 ちょーっと、あなたにはおしおきが必要だよね。

 汀ちゃん、だっけ?あなたはここで待っててね。」


今度こそ万策尽きた私の前に、今度はしっかりとした足取りで近づいてくる彼女。

観念した私は目を瞑り、これからされる事への恐怖に堪えることに専念した。

せめて、私の中で眠る保美の魂だけでも守らなければ。

そう誓った私は、しかし彼女の前に容易く屈することになる。


32 :前スレ981:2008/07/12(土) 02:25:15 ID:Gotg3HZS

「ふぅ…ンッ……ゃあ、あぁん」


血を吸うという行為はもう十分なのか。

先ほどまで私の傷を抉り、また慰撫したその舌は、今は私を悦ばせる為に動き続けている。

幾度と無く少女の舌の這い続けた首筋からは、ぞくりとした快感が絶え間なく背筋を伝う。

いつの間にか股間に差し込まれた指先は、遠慮も気遣いも無くただ私を蹂躙する。

背筋から尾てい骨へと伝う断続的な快感と、激しく圧倒的な前からの刺激。

前後から板ばさみの快感を受け、自分でも何度達したか記憶に無いほどの間刺激され続けたそこは、未だ溢れ続ける私の欲望の証でてらてらと輝いている。

はしたなく蜜を垂れ流すそこを曝け出し、学友の眠る部屋で恥も外聞も無く喘いでいる自分をふとした瞬間に思い浮かべてしまい、けれどそれがまた私を燃え上がらせる。


「ふふっ…そろそろまたイッちゃうかな?」


あなたも好き者だよね。

彼女は口の端を厭らしく歪め、私のそこを乱暴に擦り上げる。

そのまま突起を押しつぶされる。

そんな扱いにも、私の身体は悦んでしまう。

望みの快感を与えられた私は、背を反らし腰をくねらせ、全身で眼前の少女へと悦びを表現する。

そんな私の浅ましい姿に満足したのか。

彼女はぴん、と最後に私の大事な部分を指で弾くと、両手を付いて軽く上体を起こした。


「ふぅ…結構、楽しかった…よね。ふふっ、でもそろそろ、その子もあなたから出してあげないと限界みたいだしね」


行為を止めた彼女は、何やらまじないの様な行為を私に向かって行い出す。

紅いぼんやりとした靄が、目の前にかかる。

わたしが、私の中から浮き上がる様な奇妙な感覚。

けれど、じんじんと痺れるような下腹部の余韻に浸るのに夢中な私には、彼女の気遣いを悟ることなど出来るはずもなく。

ただただ潤んだ瞳で出来る限りに、続きをせがむだけだった。

そして、私の中から何かがするりと抜けていった瞬間、私は疲労に意識を手放した。






「うふふっ…向こうの子、気が付いたらどんな反応するんだろうね…

 もうちょっと、様子見かな。

 そのあいだ、こっちの子で遊んでよっかな…ふふ」


先ほどまで玩具にしていた少女が意識を失ったのを横目に見やると、三歩後ろに控えさせた長身の少女を抱き寄せた。


「……うぅ……ここは…!?」


わざと従えた少女の洗脳を解くと、目を覚ましたばかりの哀れな子羊を後ろから抱きすくめ、それだけで静かにさせて。

「声は出さないようにね」等と意地の悪い要求を突きつけながら、襖の目の前で、2度目の行為を始めるのだった。


38 :名無しさん@ピンキー:2008/07/12(土) 10:58:10 ID:D2aocudk

 桂はふくよかな乳房を好んでいた。手のひらから零れる豊かなそれは湿りを帯びている。

 先刻のことを思い出す。長身の少女を倒した直後に胸の間に頭を押し付け柔らかい感触を味わったことを。甘い香りが鼻をついたことを。乳房に挟まれるたびに思いを馳せる。母親に抱きしめられた頃を。

 その記憶に誘われるままに桂は少女の乳首を吸い続け――手のひらからはその時の桂の唾液が残っている。

 桂は唾液を指に擦り付けて、乳首に塗りつくした。少女は母親ではなく、慈愛の代わりに悦びを与える対象だったから。実際、桂の耳に届いたのは優しい言葉ではなく、悲鳴だった。「ちょっと、何してんのよ!!」

 桂は顔をしかめる。「声は出さないようにと言ってたはずだけど」言いつけを守らない時、母が言っていた言葉を脳裏から引き出す。「悪い子にはお仕置きしないと」

 乳首を摘むと少女は再び悲鳴をあげた。だが今度は抗議ではなく、甘い声だったため却って桂の機嫌はよくなる。指先でつつくと甘さが増した。胸の大きな人はあまり感じないというのはは嘘だ。サクヤさんもこうするの好きだったっけ。

 ふと思った。少女はどこかサクヤと雰囲気が似ている。

 しかしサクヤと違って少女の瑞々しい肌は一時のものだ。いずれ歳月と共に萎れる運命。だから余計に愛しくなる。少女の少ない人生の瞬間の一つに自分はなれることに。

 桂は少女の子宮への入り口に手を宛がった。「止め――!この変態!色魔!」身体が動かせない少女は声を張り上げて桂に抵抗しようとした。しかし桂は気づく。少女が桂の思い通りの人物なら――言葉の数は多いけれど、いつも冷静で――意味のない言葉を捲くし立てることは焦っている証だと。

 構わず指を挿し入れると少女の抵抗は溶けた。きっと漏れ出る嬌声に恥じて、声を押し殺したのだろう。

「ねえ、声聞かせてよ」声を出すなと言った口が良く言うと桂は自身に苦笑しながら囁く。しょうがないことだ。少女の甘い声は心地よいのだから。

 言葉と共に指でも少女の声を引き出そうとする。少女の中は濡れていた。快楽を示すぬめりに桂は身震いする。この先、少女のここからは赤子が出て、その子は少女の乳を吸うかもしれない。だが、既に少女の入り口は桂に侵され、乳房は桂の手垢と唾液で汚れた事実は消えない。少女が生が潰えて、桂が忘れない限りは消えない。

 もしかしたら――桂は夢想する。成熟した女性となった少女が赤子を抱きしめる度に今日のことを思い出したら。少女の歳月の瞬間瞬間に自分の記憶が現れ、いずれ埋め尽くされ……

 それを夢見て桂は少女の身体を愛し続ける。


39 :名無しさん@ピンキー:2008/07/12(土) 11:00:10 ID:D2aocudk

 しかし、全てには終わりがくる。少女が一度大きく振るえ、力が抜け落ちると同時に後ろから声をかけられた。

「桂」

 振り向かずとも誰だがわかる。「なぁに?サクヤさん」

 ふうっと溜息が聞こえる。「おいたが過ぎるよ」きっと目の前の快楽に溺れた少女たちを見て何があったのか悟ったのだろう。

 桂は長身の少女を手放し、立ち上がって、サクヤの方に近寄る。サクヤは不機嫌そうに眉を寄せていた。

 ちょっと、やり過ぎちゃったかな。

「ごめんなさい、サクヤさん」桂はサクヤに抱きついた。先程の少女よりは少し硬い乳房の間に頬を挟む。

 サクヤはそれ以上何も言わず、代わりに桂を迎えに来た目的を語った。主の分霊がここにいる――

桂は目を光らせて、辺りを見回す。なるほど、集中すると、節々に主の気配が滲んでいる。

 桂は傍らに置いていた維斗を手に取った。

「大丈夫、力は充分補ったよ」

 サクヤは苦笑する。「そうみたいだね」

 その表情は相変わらずしかめられていたため、桂も心の中で苦笑する。「サクヤさんも呑む?――私のを」

 暗闇の中でサクヤが頬を上気させ、頷くのを桂は感じ取った。こういう時のサクヤは少し、子供のようだ。

「じゃあ、とりあえずここから離れて、二人っきりの所で、ね?」

 桂は襖に手をかけ、向こう側に足を踏み出す前に、一度振り返る。

 そして快楽に溺れた少女たちが、息も絶え絶えに床に身を投げ出す風景に満足して、背を向ける

 ――それから二度と見ようとしなかった。

「行こう、サクヤさん」――桂が選んだのは、刹那の美ではなく、永遠の愛。

 桂はサクヤの腕を取って、歩き出した。暗闇の奥へと。血と血で廻り続ける果てしない旅路へと。