清流の流れる川の脇、私小山内梢子は…えっと恋人と言ったら良いのか分からないけれど。それに物凄く近い関係を持った鬼切りの少女、喜屋武汀と夜空に上がる花火を二人並んで腰を下ろし、瞳に写していた。

「わー!凄い。流石西日本一の花火大会だね。迫力あるわ。」

夜空を彩る無数の光の花を見て、汀が感嘆の声を漏らした。

「えっと、何発上がるんだっけ?」

質問に記憶の糸を辿る。

「確か今年は一万八千発って聞いたけど。」

「ふむ。一発10万円と考えると約18億円かかっているわけね。さぞ沢山スポンサーがついているんでしょうね。もし税金から採取されて使われているなら、観る気失せるけど。」

「あのね、せっかく感動に浸っているのに。いやらしい想像で雰囲気壊す様な事言わないの。」

なんでこんな時にお金の話が出てくるのか…。えげつない。けれど、そんな事を言いながらも、汀の視線は夜空に釘付けだった。

 その横顔がとても綺麗で、可愛らしくて、私はつい見惚れてしまった。よく見たら着てから大分時間が経ったせいか、浴衣がそれなりに着崩れしていた。チラリと覗く汀の胸元…その大きさに見合った深い谷間が私の脳髄にピンク色の電撃を流した。

 汀が欲しいと、心が、身体が、子宮が訴えかけてくる。私は瞳を閉じて必死に抵抗を試みたが。再び目を開いた時に写った汀の項に、そんなささやかな抵抗は吹き飛んでしまった。

 只でさえ近かった汀との距離を、吐息が触れるほどに近づける。汀の匂いが鼻腔から入り私の脳を犯した。もう嗅ぎなれた筈なのに、相変わらず狂わせてくれる。

 汀の肩を抱き寄せると、やっと彼女は私の異変に気付いた。

「お…オサ。急にどうしたの?」

「ねぇ…汀。キス…していい?」

汀の顔が少しだけ引き攣る。その事にイラっとする。私の思い通りにならない汀は嫌いだ。

「ごめんオサ。あたし、今ゆっくり花火楽しみたいんだけ…んぅむぅ!?」

汀が抵抗するのが悪いんだから。貴女がそんな態度をとるから、それを取り払いたくなる。そんなふざけた感情を掻き消したくなる。

 私は汀の唇を深く奪った。


 何時からだろう。オサがあたし、喜屋武汀の唇を簡単に奪うようになったのは。確か、今年の女子高校生剣道全国大会で、一年ぶりに再会したあの日から。オサはあの頃から躊躇する事無くあたしの身体を求めるようになった。まぁ、原因はあたしにあるんだけれど。

 多分オサを一年間放置プレイをしたのが悪かった。

その長い期間は、オサの理性を掻き消すには十分過ぎる時間があったみたいで。おかげ様で今もこうやってオサから熱烈なキスを受けている。

 嫌じゃない…。オサの事好きだから嫌じゃないんだけど…。

 ちょっと強引じゃない?

「はぷっ…。」

一端息継ぎをして、ちょっと抗議。

「あ…あのオサ。人が来たら大変なんだけど。」

今の所、この穴場に人の気配は無いけれど。

「人に見られたって別に良いわよ。少し黙って。」

 はむちゅ…。再びオサに唇を奪われた。駄目駄目、このまんまじゃいつも通りオサのペースに…。

「ひゃむっ!?」

オサの舌に、上顎を舐められた。身体が大きくビクリと反応して、力が抜けていく。あたしにとってそれは媚薬の様な物だった。

 オサの体重を支えきれなくなったあたしは、そのまま倒されて深く深く唇を重ねられた。このままじゃいけないと舌を使ってオサを押し返そうとするけれど、逆に絡めとられて、脳髄が搾られるように気持ち良くなってしまう。

 何時の間にかあたしはオサの舌を、自ら求めていた。もう理性が殆ど残っていない。その残りを使ってオサの両肩を持ち上げようとするけど、跳ね除ける力はこれっぽっちもなかった。

 オサが頭を掻き抱いてくる。脚の間に身体を割り込ませて来て、互いの密着度が一気に増した。オサの体温が温かいを通り過ぎて、熱いと感じてしまう。のぼせそうな感覚に襲われるけれど、嫌いじゃない。寧ろ凄く好き。

 互いの浴衣の裾がずれて、むき出しになったふとももとふとももが擦れ合う。それが、少しだけ涼しくて気持ちが良かった。

そうなると大切な所が寂しくなって。

「おひゃぁ…おひゃぁ…。」

気が付くとあたしは舌同士を激しく絡めながら、パンツ一枚越しに秘所をオサの身体に何度も何度も擦り付けていた。

 オサが欲しい、もっと欲しい。

その想いが通じたのか、オサも身体を上下に動かして、あたしの秘所を擦りあげるのを手伝ってくれ始めた。おかげで敏感なお豆の包皮がずるりと剥けて、脊髄から脳へと電撃が走った。それが連続で何度も何度も繰り返される。

 …刺激、強過ぎ…。

激しく空腰を使ってあたしも自然と自らを高みへと一気に昇っていく。

「あっ、あっ…。駄目…らめっ。ふあっ…あああぁっ…。」

大ボリュームだった筈の花火の爆発音が、遠くに、凄く遠くに聞こえた。

 秘所から大量のエッチな液が流れ出たのが分かった。

 …あ、浴衣汚しちゃう…。そんな事を脳裏で僅かに思いながら、あたしはオサに口を犯されるままになっていた。

 オサが上体を少し起こす。あたしの唇と、オサの唇の間に唾液の橋が繋がった。

「汀…。いっちゃった…?」

オサがあたしを覗き込みながら言った。その表情が少しだけ嬉しそうで、あたしはそれが少し悔しくて恥ずかしくて視線を反らした。

「生意気」

「え…。」

オサの声が低くなる。嫌な予感がした。

 咄嗟にオサに視線を戻す前に。

「ひあっ…!?」

あたしの左のおっぱいが、オサの手によって浴衣の合わせ目から取り出された。

「ちょ…待って。オサっ!」

さっき絶頂に追い詰められたのに、今あたしの一番の弱点のおっぱいを攻められたらまた直ぐに…。

「相変わらず馬鹿みたいに大きなおっぱい。汀…浴衣だったから抑えられて苦しかったでしょ。今、楽にしてあげるから」

 はむっ。

「…−っ!」

少し大き目のせいでコンプレックスになっている乳首と乳暈を、両方纏めて口に含まれた。

 乳暈は唇で揉みしだかれ、乳首は前歯で軽く噛まれて、先端を舌でコロコロと転がされた。

「ふあっ!…らめっ。おっぱいらめなのぉ…。オサぁ…!」

オサの攻めに反応して、乳首が大きくしこり立ち、乳暈がふっくらと盛り上がり。おっぱい自体が張って、ワンサイズがアップしていくのが分かった。当然、その分感度も当然上がっていく。

 もう、脳味噌がピンクに染まって何も考えられなくなった。それなのに、オサはもう片方のおっぱいも浴衣から取り出し、激しく揉みしだき始める。

 あたしは捧げるように胸を持ち上げ、更に激しい空腰をして敏感なお豆をオサのふとももに擦り付けた。

「はぁ、はぁ…。気持ち良い…。気持ち良いの…。ふあああぁっ!」

身体を大きく反らして、あたしの身体はすぐさま二度目の性感帯の絶頂を極めさせられた。

 まだ、優しく搾乳されるおっぱい。口の端から零れる涎。あたしは舌を突き出しながら、荒い呼吸を整えようとしていた。

 これ以上攻められたら心臓が爆発してしまう。そんな気がした。

 頭の中のピンク色の霧が晴れてくるのと同時に、オサが唇を重ねてきた。流れ落ちる涎を吸い取られ、舌を舌で捕らえられて、またクチュクチュとかき回される。しかし、今回は直ぐに開放してくれた。

 オサが顔を離して、正面から見つめてくる。その頬は朱に染まっていた。

「汀…。大好き。」

こんな事をされた後なのに、なぜか照れてしまうあたし。でも、今回は逃げずにオサの顔をしっかりと見据えた。目を反らしたら、また苛められるのが怖かった…というのもあるのだけれど。だけど、

「あたしも…オサの事大好き。」

あんな愛され方をされても、あたしはオサの事…この世界で一番大切だから。

 本当に久方振りに、花火の爆発音が耳に入ってきた。空を見上げると、まだ満開の花が咲いていた。今夜は未だ楽しめそうだ。