438 :百合短編1:2009/07/27(月) 04:16:58 ID:AplIbm+0

夏姉さんを救え!


夏夜が梢子を残して宗次の元へ向かって

暫く経過し、鬼の踏み石から汀とコハクがやって来た。

夏夜が宗次の所に向かった事を伝えると梢子が厄介な物を

押し付けた。

「はい、汀。《剣》」

「わあ!!オサ、渡すならコハクさんに渡して!」

「謙虚ね」

汀が気持ち悪い物を押し付けられたように拒否する。

それに対して冷静な梢子はコハクに渡そうとして。

「うわああああああああ!」

梢子が急に大声を出し、汀の方に向かって差し出す。

「ぎゃああああああああ!」

さっきよりも顔を歪めて素早く距離を離した。

「お、オサ!あんた何すんのよ!」

「い、いやあ…つい」

何となくしたくなったらしい。

「おい、梢子!《剣》をそんな事に使うな!全く…」

と、コハク。

「ごめんなさい」

梢子が改めてコハクに《剣》を渡す。

もう一度さっきの様な事があるのではないかと思った汀は梢子と

距離を取っていたが再び距離を戻すと。

「うわああああああああ!」

今度はコハクが《剣》を手に汀に近付く。

「ぎゃああああああああ!」

今度は反射で汀が前蹴りをコハクの腹に炸裂させコハクが膝を崩す。

「うっ、汀…冗談が通じんやつめ」

「可愛らしい冗談じゃない」

「全くだははははは」

再び立ち上がったコハクは大声で梢子と笑った。

汀は早くも不安になった。


439 :百合短編2:2009/07/27(月) 04:17:30 ID:AplIbm+0

根方の家へ向かい色々調べ、数ある洞窟の中人の手が加わった洞窟を

見つける。

「多分ここでしょうね」

暫く歩いても特に何も無い。

退屈したのか、汀が自分の棍を見せ付ける。

「ねぇオサー。私の棍って刀が仕込んであるのよーほれほれ」

「へぇ…」

「そうか」

全く関心が無いのか、二人ともそっけない返答。

挫けず、汀は続ける。

「私は普段これを居合い切りの様に使うんだけど、なんで剣戟に

使わないか分かる?」

自慢げに汀が語ると。

「仕込み刀は隠す事が目的だから耐久性が弱く剣戟に向いて無いから

でしょう。第一、抜刀術って片手だから威力も微妙だし必要だったら

刀も一緒に持っていけばいいでしょう。警察に見つかると厄介だから?

それだったら棍も見つかったら駄目でしょう?だったら一緒に持ってけばいいのに」

梢子が素っ気無く返答する。

「オサ冷たい、つまんない…」

汀がしゅんと仕込んだ刀を戻すと何か思いついたのか。

「うわああああああああああ!」

汀が叫んで、仕込んだ刀を少しだけ出し梢子に近寄る。

「あー分かった分かった」

「汀は諧謔だな」

またも素っ気無く返され、汀は自分を省みて顔を真っ赤にした。

暫く歩いていても特に何も起こらず、広い場所に着いた。

「瓏琉は…いないか」

コハクが部屋を確認すると、梢子は夏夜の元へ向かった。

「夏姉さん、夏姉さん…起きない」

円で出来た、頂上だけ長方形のピラミッドの様な所の頂上

に汀と梢子が辿り着く。

「オサ、根方の家からぱくって来たヒノクスリでも飲ませる?」

「うーん…そうね」

梢子が夏夜にヒノクスリを飲ませようとすると夏夜の手がヒノクスリの

入ったビンをはらって、自分の唇を指差した。

「…夏姉さんったら」

「おい」



440 :百合短編3:2009/07/27(月) 04:20:10 ID:AplIbm+0

むねつぐと!


「おい、宗次!さっきから同じ所ばかり歩いてる気がするぞ!」

宗次と瓏琉は祭殿へ向かっていたのだが、瓏琉の指摘の通り同じ場所

ばかり歩いていた。

「……」

宗次が立ち止まる。

「どうした?」

「迷った」

「…ついにボケちまったか。さっき鳴海夏夜を置いて来たばっかりだぞ!」

「迷った」

「お前…誕生日にDSと脳トレセットでプレゼントしたのやったのかよ!」

「それなら、切って捨てた」

「捨てるなよ!」

「冗談だ。実は色々あってな…」


少し前。

宗次は剣術の鍛錬を終え家内で休んでいると、感覚が敏感になっていたのか、その

気配に気付く。

「誰だね?人の家に無断かつ土足で入って来たのは」

宗次が見るとそこには小さい女の子がいた。

「ごめんなさい、ボールがおじさんの家に入って」

泣きそうになる幼女を必死に励まそうとする。

「ああいや、いいんだ」

「土足って…みくの足汚いんだー!!!」

「私が悪かった!だから泣くのはよしなさい。

そうだ、このゲームをあげよう」

「おじさん有難う!」


441 :百合短編4:2009/07/27(月) 04:21:51 ID:AplIbm+0

「と言う事があってだな」

「なら、仕方ないな。俺も覚えてないし、一旦屋敷に戻るか」

屋敷に戻ると、居間でゆっくりと休む事になった。

「バナナと乳製品と同時に取ると、脳が活性化

するって漫画で言ってたぞ」

瓏琉が冷蔵庫の中身を確認するとどっちも無かったりする。

「そう言えば」

「何か思い出したか?」

「何故あのDSは黒色だったんだ?私は白が好きなんだが」

「あれは黒じゃねぇ!ミッドナイトブルーだ!

クールでカッコいいだろ?いや、今はそれよりも順路を思い出せよ」

宗次が腕を組み必死で思い出そうとしていると、瓏琉が携帯を弄る。

「とりあえず脳を活性化する為にも俺の携帯にある脳トレでもやってみるか?

って…バッテリーの残量が無ぇなぁ。宗次、充電器あるか?」

「待っていろ」

宗次が渋々立ち上がり、箪笥の引き出しを漁る。

「あったぞ」

「すまねぇなぁ。さて、俺の携帯に合うかなって…これ、DSの

充電器じゃねぇか!本当に馬鹿だなお前は!」

「馬鹿とはなんだ?目上でも言っていい事と悪い事があるぞ」

「本当の事言って何が悪いんだよ?」

「そういえば…」

「怒って何か思い出したか?」

「充電器が無くて困るのでは無いだろうか、みくちゃん」

「みくちゃんから頭離せよ!」

「いや。そのみくちゃんが私の娘とそっくりで」

「宗次…」

瓏琉が気遣う声色を出すと。

「と言う訳ではないのだが可愛くてな」

「ボケよりももっとやっかいな病だな宗次!」

瓏琉は《剣》でなんとかするかと、気楽に思い居間をごろごろ

する事にした。

「夏あちー…」



442 :百合短編5:2009/07/27(月) 04:22:24 ID:AplIbm+0

烏月と枕


(桂さんの抱き枕カバーが発売するらしい。

どれどれ…早速覗いてみよう)

ホームページを覗く烏月。

(期待を裏切らず縞パンツ!しかし、胸が大きく無いか?

こんなの桂さんじゃない!だれがこんなものを)

数日後。

「買ってしまった。早速枕に付けてしまった!

こんな所を桂さんに見られたら…」

「烏月さん…」

「桂さん!!!」

なんとかしようと画策した烏月は。持っていた維斗を抜き。

「桂さん危ない!現身を持たない見えない鬼が!

桂さーーーーーーーん!

ふふっ…残念だがそれは偽者だ。喰らえ、千羽妙見流鬼切り!

オンマカシリエイジリベイソワカ!」

「あの…烏月さん」

「ああ、桂さん。こんな所に…偶然にもダミーに使われた抱き枕が…

似てますね」

「烏月さんのエッチ」

そんな烏月が好きだったりする桂であった。