夏が終わったと言ってもまだ暑さの十分に残っている日差しを浴びながら、もう視界に

入った我が家へと最後の距離を歩む。先代部長も去り、よもやこれ以上ひどい目には遭う

まいと思っていた安住の地が実はジャングルもかくやという野獣の巣窟であったことを思

い知らされた私にとって、自宅は最後の聖域といっても過言ではあるまい。

 「ただいまー。ふぅ。」

 ようやくたどり着いた安心感も手伝って、力の抜けた私は玄関の上がり口に靴を脱ぐこ

とも忘れて座り込んでしまう。

 「あら、梢ちゃんおかえりなさい。……ずいぶんと疲れてるみたいね。」

 玄関まで出迎えに来てくれたなっちゃんが、私の様子をみて膝をつき心配そうに顔を寄

せてきた。

 嗅ぎ慣れた、しかし魅力的な香りにふっと心が安らぐ。

 「! ひゃん!」

 しかし、突如湿った感触が首筋に走り思わず変な声がでてしまう。

 「なな、なっちゃん!」

 バッとふりむき、おそらく首筋をなめた相手にたいして驚きとも抗議ともつかない声を

浴びせる。しかしなっちゃんは悪びれた風もなく料理の味でも確かめるように上を向いて

指をあごに当ててちょっと間をおいた後に、

 「なんだか知らないけど、ずいぶんと体力を消耗してるみたいね。ずいぶんと汗も掻い

たみたいだし、お風呂でも入る?」

 と、のたまった。

 そのあまりに自然な表情に私も毒気を抜かれてしまい、また提案そのものも魅力的であ

ったので、

 「沸かしてくれるならおねがい。」

 と素直に薦めに従うことに決めた。




 なっちゃんがお風呂の準備をしてくれている間に、ここまで重たい思いをして担いでき

た濡れた衣類を洗うべく洗濯機に放り込んでいく。保美が寮に持ち帰って洗ってくれると

言ってくれたものの、その前にどんな扱いを受けるか分かったものではなかったので家ま

で頑張って運んできたのだ。そういえば、ここまで着てきた制服は渡されたものを何の疑

いもなく着用したのだが、ほんとに良かったのだろうか?いや、考えるのはやめておこう、

疑い出したらきりがない。

 回転する水流に翻弄されるワイシャツを見ていると、フラッシュの嵐に翻弄された自分

を思い出して、思わず顔が火照ってくる。正直いってあんなに性的に快感を覚えたのはは

じめての経験だった。自分にマゾヒストっぽいところがあるということはなんとなくは分

かっていたものの、改めてこのところの剣道部での出来事には自分の性癖を突きつけられ

た気分である。そんなことを考えて私を追い詰められる私に興奮してきてしまい、もんも

んとしていると誰かが近づいてくる気配がしたので、とりあえず表面上は落ち着いた風を

とりもどした。

 「梢子ちゃん、なにか洗濯ものでもあったのですか?」

 振り返るとナミがいた。

 「ああ、ナミ、それが聞いてよ。百子に頭からバケツで水を掛けられちゃったのよ。」

 「まあ、びしょびしょ、びしょびしょですか?」

 「そうなの、だから濡れた服は洗って乾かさないとね。」

 「梢子ちゃんかわいそうです。」

 ナミの眉尻がしゅんと下がる。

 「大丈夫よ、そんなにたいしたことじゃないから。」

 まあ実際はたいしたことだったのだけれど、まさかナミに詳しく話して聞かすわけにも

いくまい。

 「それよりナミ、お風呂入るんだけれど、一緒に入る?」

 せっかく沸かすのだし、一人だけ入るのももったいないだろうと思い、ナミも誘ってみ

る。

 「入ります。入ります。梢子ちゃんとのお風呂ポカポカです。」

 ナミの表情もパッと明るくなり、こちらも思わずほほえましさに笑みがこぼれる。

 「じゃあタオルとか着替えとか用意しましょうね。」

 ナミの手をとると、私は洗濯機の前を離れた。




 お風呂場にナミと連れ立って入り、まずはいつもどおりナミを洗うことにする。別に咲

森寺にいたときのようにナミが自分で洗えないわけはないのだが、せっかく二人で入るの

だからこういうコミュニケーションというかスキンシップというかは大事にしたい。

 「ナミー。腕上げてちょうだい。」

 そう言ってナミの腕を持ち上げて石鹸のついたスポンジで丁寧にこすっていく。相変わ

らず透き通るように白く絹織物のようにきめ細かい肌に視線が吸い込まれそうになる。こ

の魅力的な少女を我が家に引き取った自分の判断が改めて間違ってなかったと認識を新た

にする。こんな子をどうにかして保美と一緒にでもしてたら、間違いなくその毒牙にかか

ってまだつぼみの花を散らしていたことであろう。まして綾代の家などに預けた日には、

どうなってしまうのか恐ろしくて想像もしたくない。したくはないが、閉ざされた館で妖

艶な女主人綾代が、なにやら古風な侍女服を着たナミにいろいろと妖しいことをしている

姿が次々と頭をよぎる。

 そんなことをつらつら考えながらも、すっかりなれた私の手は的確に動き、ナミの全身

を洗い上げ、髪も丁寧にシャンプーしてやり、次は私がナミに洗ってもらう番となった。

 ナミに替わって私が丸いすに腰掛けてスポンジを持ったナミに身体をゆだねる。ふわふ

わとした感触が肌を滑っていくのが非常に心地よい。やっぱり身体は洗ってもらうに限る

と私は思う。今度久しぶりになっちゃんにも洗ってもらおうかしら。

 身体の前を洗ってもらったので、今度は背中を洗ってもらうべくナミに背を向けたとこ

ろ、予想に反してなぜだか洗われる感触がこない。いぶかしく思って後ろを振り返ると、

ナミがなにやら宙を見つめてボーっとしているようにも見えた。

 「ナミ?」

 とりあえず声をかけるとコクンとかわいくうなずいたので、安心したのだが、次の瞬間

ナミはスポンジを握って自分の身体に石鹸をこすりつけだしたのを見て、突然の異常な行

動に思わず驚きの声が出る。

 「ナミ!? いったいなにを……」

 が、疑問の声は最後まで出ることはなく、ナミの起こした更に予想外な行動にもはや声

も出なくなってしまう。

 「!?」

 あろうことか、ナミは石鹸にまみれた自分の身体を私の背中に密着させてきたのだ。

 「ちょっとナミ!? ほんとにいったいどうしちゃっ…… あひゃん」

 そのまま無言でナミは自分の身体で私の背中をこすり始める。少女の未成熟な胸のふく

らみが背中を上下に摺る感触に思わず意味をなさない言葉が漏れる。これがとてもいけな

いことで、自分は年上の保護者としてすぐにでも止めなければならないはずなのに、あま

りにもあまりな気持ちのよさと、今まで想像したことすらない事態への驚きのせいで、思

考がまとまらず、身体も反応せず、ただ押し寄せるえもいえぬ心地よさに身を任せた状態

になってしまう。

 都市部の住宅にありがちなあまり広くない風呂場に自分の嬌声が残響をともなって響く

のを耳にしながら私はすっかり快感に酔ってしまった。

 ようやくナミの身体がはなれ、湯が背中に掛けられたところで多少の落ち着きを取り戻

したものの、もはやナミを問いただすつもりはどこかに行ってしまっていた。

 「梢子ちゃん。良かったですか?」

 ナミのその声にただただ無言でうなずくしかなかった。




 その後は何事もなかったように髪を洗ってもらい。二人で湯船に浸かって十分にリラッ

クスしたのち、風呂から上がって、Tシャツ一枚というラフな格好に着替えて居間に来る

と何かを待っていたかのようななっちゃんと目が合った。

 「なっちゃんありがとう。いいお湯だったわ。」

 とりあえずそうは言ってみるものの、狭い家のこと、たぶん私の声はなっちゃんに聞こ

えていたに違いない。

 確かめたいけどどうにも切り出せなくて、赤い顔でもじもじしてると、いたずらっぽく

目を細めたなっちゃんが口を開いた。

 「あら、よかったわ。それから梢ちゃんたちがお風呂に入っている間にそっちの部屋に

お布団しいておいたけど、使うでしょ?」

 使うでしょ?ってなにをどうするのだと言うのだ。いや、どうするもこうするもたぶん

この場合は一つしかないわけだけれども。

 「それじゃ、私もお湯を浴びてくるから、二人で先にはじめててちょうだい。」

 もはや耳まで真っ赤になって、答えを返すこともできない私をおいて、なっちゃんはイ

ソイソと風呂場のほうへいってしまった。

 「ナミ。どうしよう?」

 どうしようも、こうしようも、冷静な立場で考えたら何もするべきではないのだが、そ

ういう判断力はもはや私には無い。

 「します。します。梢子ちゃんとします。」

 ナミのほうはというと、もうすっかりその気になっているらしい。なんて積極的な子な

のかしら。

 こうなっては据え膳食わぬは何とやら、ナミの手をキュッと握ると連れ立って布団の敷

いてある部屋へと歩き出した。




 部屋に入ってみると真ん中にデーンと布団が二枚敷いてあってシーツがきっちりと掛け

られている。部屋はカーテンどころか雨戸まで使って外からの光がさえぎられており、枕

元にはいつの間に買ったのやら、ピンク色に光るスタンドが鎮座ましましている。

 ティッシュなんかご丁寧に先っぽが三角に折ってあり、細部までなんというかそつが無

い。でもなっちゃん、このドリンク剤の量はなんなのよ?その横には刃物っぽいものが置

かれており、これは正直理解しかねると一瞬思ったが、そういえば、なっちゃんたちには

ドリンク剤より私の血よねと納得する。いやまて、そこまでしなきゃいけないほど続ける

気なのだろうか?

 若干不安になりつつもここでそんなとこを見せたらムードぶち壊し、せっかくナミがそ

の気になってくれたのだからチャンスは活かさねばと完全に間違った思考にしたがって、

ナミを布団に連れて行き二人で真ん中に向かい合って膝をつく。

 「ナミ、いい?」

 なにがいいのかさっぱりだが、ナミがコクンと頷いたのを確認し、ナミの服を脱がせ始

める。とわいえ、お互いラフな格好だったせいで、あっという間に全裸になってしまう。

こんなことなら、もう少し着せておけばよかったと後悔したが、もはや遅い。脱いだTシ

ャツと下着をいい加減にまとめて枕元に放りだし、本格的に始めることにした。

 ナミが細い腕でもって抱きついてきたので、私も自然にそのまま抱きかえす。お互いの

火照った体が密着し、さらに熱を持つ。自分の頬でナミのそれの感触を十分に堪能した後、

いったん顔を離して今度は唇を寄せていく。ナミも私の意図を的確に悟りすこし首を傾け

て唇を突き出してくる。程なくお互いの唇は出会い、その柔らかさと適度な弾力にうっと

りとしてしまう。しばらくするとナミが少し唇を開いて舌で私の唇をつついてきたので、

私も唇を開き、ナミの舌の侵入を許す。そこで躊躇したかのようにナミの動きが止まった

ので、こちらから舌をからめに行ってやる。ぴちゃりと湿った音が響いた気がした。




 お互いの口腔を十分に堪能したところで、ナミをゆっくりとシーツの海に押し倒してゆ

く。ナミの髪の毛が白布の上に広がり、ほんとに水に沈んだかのようにも見える。

 「ナミ、綺麗よ。とっても。」

 「梢子ちゃんも綺麗です。」

 咲ききらないほころびかけた蕾のような身体を見下ろしていると、背徳的な快感がゾク

ゾクと背中を駆け上がってきた。

 「ナミ、気持ちわるかったらそういうのよ。」

 どうせもう止まるわけなどないのだが、言い訳がましくそう告げると、ゆっくりと身体

を引いてから、上半身を前に倒し、ナミに覆いかぶさる格好になった。

 華奢な鎖骨のあたりにまずは口付ける、そこから舌を出してヘビのような曲線を描きな

がらゆっくりと、胸の頂を目指してナミの肌をなめてゆく。

 「ひゃぅ、ふぅ、ん、ぅ」

 とナミらしい控えめな、吐息のようなあえぎ声が私の耳をやさしく撫でてゆく。そのた

びに嗜虐的な気分がこみ上げてきて、行った道を戻ってみたりしてしまう。

 ようやく、桜色に色づいた小さな乳首に到達したところで、口に含むようにして、舌と

唇で愛撫してやる。

 成長仕掛けのそれは非常に敏感な部分と見えて、握り合った手に力が入り、あえぎ声も

一段大きく鋭いものになる。

 「あん、あふぅ、チリチリ、あぅ、チリチリします。ひゃん。」

 ナミのかわいい声が終始聞こえるのが楽しくて楽しくてたまらない。十分に反応を楽し

んだところで再び体の下の方へとむかって舌を進め始めた。

 再び控えめになったナミの声を聞きつつ、乳房の下、へそ、下腹とゆっくりと味わって

いく。

 いよいよ脚の間に顔がうずまると、不安からか、両膝で頭を挟まれてしまった。

 「ナミ、怖いの?」

 さすがに問いかける。

 「すこし。でもいいです。つづけて下さい。」

 若干震えているようでもあるが、意外にしっかりとした返答にこのまま続けることを決

める。

 両手をナミの両ももの間に差し入れて開かせ、そのまま親指でゆっくりとナミの蕾を開

いてゆく、まさに花が開くといった表現がふさわしいほど、綺麗な桃色をしている。奥か

ら蜜がわいているのも花と呼ぶのにふさわしいだろう。

 その蜜も堪能しつつ、舌を使って舐め上げ、つつき、こね、快感を送り込んでやる。

 徐々に高まるナミの声がその頂点に達しようとしたとき、突然私の股間に強烈な刺激が

走り、甲高い声とともに、私はすべての動きを止めてしまった。




 「うふふ、梢ちゃん、お、ま、た、せ。」

 突然の刺激にスパークの走る脳に、なっちゃんの声が聞こえる。

 なんとか状況を確認すると、いつの間にやら私の背後に覆いかぶさったなっちゃんが、

片手を私の股間に埋めて、指で私のそこを貫いている。

 だがそれもそこまで、何の準備もなく敏感な箇所を刺し貫かれた痛みに涙目になりなが

ら抗議の声をあげることも出来ずにナミの股間に向かって突っ伏してしまう。

 「あら、そんなに良かったかしら?」

 すぐさまいいわけないじゃないと言いたいが、もはやうなり声の出しそこねのような声

しかでない。

 ナミもびっくりしたのか、動きが止まっている。

 「おとなしいわねー。梢ちゃんったらさっきまではすっかりお姉さま気分だったのに。

でもやっぱり私はかわいい梢ちゃんが好きよ。ナミちゃんもそう思うわよね?」

 なんだか好き放題いわれてる気がするが、反論する気力もない。ようやくなっちゃんが

指を抜いてくれたので、お尻も落として、完全に寝転んだ状態になった。こぽりと液体が

こぼれた感触があるのが悔しい。

 上半身をひねってなっちゃんを恨めしげに見上げるが、当の本人はニヤリとした顔でぺ

ろぺろと指を舐めてたりする。反対の方を向いてナミの顔をみると目を丸くしてすっかり

驚いた表情だ。

 「ナミちゃんお疲れ様。私が来たからにはもう大丈夫よ。さ、いっしょに梢ちゃんを気

持ちよくしてあげましょうね。」

 何がお疲れ様で、何が大丈夫なのか、そして最後の一言はなんだ。というかナミもうな

ずくんじゃない。

 あれよあれよという間に、抱え起こされたかと思うと、両膝の裏に手を入れられてあっ

さりと持ち上げられてしまう。

 「さ、ナミちゃんどーぞ。」

 勝手に人を上げないでほしい。何か言おうと思ったが、口はなっちゃんの唇にふさがれ

て結局何も言えなくなる。膝立ちになったナミが股間に顔を近づけて来る気配がわかるが、

抗うすべはもはや私には無い。ああ、結局私はこうなるのね。




あとがき


というわけでオサMシリーズの3話目です。お楽しみいただけましたでしょうか?

まだ続けるつもりなので、お付き合いいただければ幸いです。


            →作者に罵りの言葉を送ろう↓

             http://mixi.jp/show_friend.pl?id=17495549

             心にぐさりと来た言葉は次回オサを責めるのに使われるかも

             しれないぞ。スレで私の妄想を披露したくないわって方の希

             望シチュもまってます。