496 :はじめてのおいしゃさん1:2008/06/20(金) 18:48:12 ID:yH/JhqFh

 根方家の双子の姉妹に初めての友人が出来た。

 名前は梢子。鳴海夏夜と共に踏み石を渡ってきた少女だ。

 夏夜が根方宗次と剣の話をしている間に梢子と双子たちは『二人』で遊んだ。贄である双子の姉の方は

本来外に出てはならないため妹と入れ替わりで梢子と遊ぶためだ。


 事件は妹の根方保巳が梢子と会っていたある日に起こった。


 その日は雨が降っていたため屋敷の中で遊んでいた。田舎である卯良島にはゲーム機のような

子供向けの気の利いた室内用の遊具がない。遊び盛りの幼い少女たちが折り紙やカルタに飽きるのも

時間の問題であり、その最中で梢子が新しい遊びを提案した。

 「ねえ、お医者さんごっこしようか?」

 「お医者さんごっこ?」耳慣れない言葉に保巳が首を傾げる。

 「うん!痛いのが治るすっごい遊びなんだよ。昨日体が弱いって言ってたしちょうど良いと思ったんだ」

 「う、うん……」

 保巳は曖昧に頷く。昨日は姉の維巳が梢子と遊んでいた。保巳の体は至って健康で、元気が有り余って

いる。とはいえ今になって梢子に根方の決まりを破って真実を言えるはずもなく――

 なりゆきでお医者さんごっこをすることになってしまった。

 「じゃあ、とりあえず初めてだし今日は私がお医者さん役をやるね」

 「うん」

 役割が決まると梢子はぐっと保巳の方に体を近づける。

 「どこか痛い所ありませんか?」

 「えっと、えっと……」保巳は瞳を泳がす。痛い所などどこにもない。維巳と違い保巳は本当に健康なの

だから。何だか申し訳なくなる。梢子がせっかく保巳を――本来は維巳だが――思って誘ってくれた

遊びを無下にしているようで。保巳はうつむくしかなかった。

 「どうしたの?」

 保巳の様子がおかしいことに気づいた梢子が保巳との距離を更に縮める。顔が近い。梢子の眼差しが

保巳を貫く。その視線に曝されて、ふいに保巳はその純真な瞳に魅せられる。

 梢子ちゃんの目、綺麗だな……

 そう思った途端、なぜか心臓の内側から何かで叩かれているような気がした。ドキドキ、ドキドキと。

 保巳はその痛みに戸惑うと同時に安堵する。良かった、痛いところができた。


497 :はじめてのおいしゃさん2:2008/06/20(金) 18:49:13 ID:yH/JhqFh

 「えっと、ここら辺が痛いです……」医者に対するように敬語で話す保巳。手のひらで痛む部位を指し

示す。

 「う〜む、心臓が悪いようですね。心臓が悪いとじんぞーに血が行かなくなるし、シンフゼンでいきなり

死んじゃうかもしれません」

 「えええっ!?」想像を越える深刻な診断に保巳は震え上がる。

 死ぬ?自分が?死んだらお父さんにもお母さんにも維巳お姉ちゃんにも会えなくなるし、梢子ちゃんとも

遊べなくなる!

 「や、やだ死にたくない。死にたくないよ、梢子ちゃん」気がつけばぽろぽろと涙をこぼしていた。

 「大丈夫、大丈夫だよ」

 梢子は心得ているかのように保巳の手をぎゅっと握った。

 「私が治してあげるから、ね?」そしてにっこりと笑顔。

 「梢子ちゃん……」

 梢子の真髄な言葉に保巳の中の不安が融けてゆく。なぜか心臓が痛みを増してくるも、もう心配はない。

梢子がこれから治してくれるのだから。

 保巳はぐっと涙を堪えて握られた手を握り返す。

 「うん、わたし梢子ちゃんを信じるから」

 「任せて」

 梢子は頷き、二人の真剣なお医者さんごっこが始まろうとするも。

 「それでは服を脱いでカンブを見せてください」

 「えっ!?」

 突然の梢子の指示に早速保巳は動揺する。

 「心臓が痛むのですから直接見ないといけません」

 「で、でも……」

 有無を言わせぬ梢子の言葉に保巳は気後れしながら抵抗を試みる。女の子同士だから気にしなくても

いいのかもしれないが、家族以外の人に裸を見せたことがなかったのだ。

 「さっき、私のこと信じるって言ったのに」そんな保巳の事情に構わず梢子は痛い所を突く。

 「うう……」

 覆水盆に返らず。言ってしまったことを撤回することは出来ない。仕方なく保巳はワンピースを脱いで

上着を捲り上げた。下は下着だけなためかなり心細い。

 「わ〜きれいなおっぱいですね!」梢子は瞳をらんらんと輝かせて保巳の膨らみから程遠い胸を凝視した。

かっと保巳の顔に熱が上がる。

 「やだっ!恥ずかしいからそんなこと言わないで、梢子ちゃん」

 「先生と呼びなさい」

 「うっ…は、はい、先生……」


498 :はじめてのおいしゃさん3:2008/06/20(金) 18:49:54 ID:yH/JhqFh

 「よろしい。それではショクシンしましょう」

 どこで習ったのか難しい用語を呟いて梢子は保巳の左の胸に手を当てる。

 「ひゃうっ!」驚きで声を挙げるも抵抗はしなかった。先生と言う呼び名が保巳の服従心を刺激したの

だろうか。

 心臓が大きく跳ねて物凄く痛い。もうドキドキを越えてバクバクしている。

 「これはひどいですね…」手のひらで直に感じている梢子も同じ感想を漏らした。

 「先生、どうしましょう?」また涙が出そうになる。

 「マッサージをしましょう」

 「えっ」

 言葉が終わると同時に梢子は保巳の胸をぷにっと一揉みした。

 「いたっ!」とはいえ揉むほどの膨らみのない保巳の胸ではどちらかという抓ったと言う方が正しい。

 乳腺への気遣いも何もない乱暴な手つきに思わず服の端から手を離す保巳。上着がずり落ち梢子の

手を遮った。

 「我慢しなさい」梢子は不満そうに唇を尖らせる。

 「ごめんなさい…でも痛くて」

 「そうだったの?ごめんね」心根が優しいため一瞬役割を忘れて素に戻る梢子。そしてすぐにはっとして。

 「今度は痛くないようにしますから」くいっとそこにない眼鏡を上げる仕草をして本人なりに考えている

医者の顔に戻る。

 「はい……」

 懸念は残るものの先ほどのはわざとではないということで保巳は服をたくし上げた。


499 :はじめてのおいしゃさん4:2008/06/20(金) 18:50:29 ID:yH/JhqFh

 再び始まるマッサージ。しかし今度は揉むのではなく、梢子は保巳の胸に指を滑らせる。

 「手を離しちゃいけませんよ」

 そう告げて真ん中の保巳の乳首を中心に皿の縁をなぞるように円を描く。胸の輪郭にそって外側から

内側へ。少し持ち上げるようにして下から上へと――強すぎず、さりとて弱すぎず。ゆっくりと。祖父の

遺伝子を継いだ立派な技巧であった。

 「はぁっ……あんっ…せ、先生……」その動きにともない保巳の呼吸が荒くなる。梢子のマッサージが

効果があったのか、胸の痛みは緩やかになったものの代わりに別の何かが保巳の中で湧き上がってくる。

今度は心臓ではなく、右の胸にも、そして股の間にも。例えようもないじんわりとした疼きが――

 「あっ、おっぱいが腫れてますね」

 「う、うそっ」驚きで自身の胸を見ると確かに両の先端が赤く固まっていた。自分は本当に変な病気に

かかったのかもしれない……初めての自身の身体の変化に保巳は恐れ慄いた。

 「梢子先生…助けてください」涙目で訴える保巳。なぜかとても恥ずかしくて家族には言えそうもなかった。

もう頼れるのは梢子しかいない。

 「安心して、絶対治してあげるから」

 「うん、うん……」

 梢子は保巳の瞳の端にある涙を拭き取って微笑みかける。保巳は感動に打ち震え、こくこくと頷く。

 保巳はこの遊びに運命的なものを感じつつあった。思えば梢子がこの遊びを持ちかけたのも保巳の

身体に変調が来ることに気づいたからではないか。健康な保巳は体の弱い姉に比べて両親に体調を

気にかけられることが少ないため余計に梢子の心遣いが嬉しい。

 大好きな梢子ちゃん……保巳の梢子への想いが膨れ上がってくる。思えばこれが恋というものかも

しれない。

 しかし梢子に触られることで自身がおかしくなったことには気づかない保巳であった。


500 :はじめてのおいしゃさん5:2008/06/20(金) 18:51:07 ID:yH/JhqFh

 「こういうのは唾をつければ良いんだよ」

 「はい……」

 保巳はどんな恥ずかしいことであろうと梢子に全てを委ねることにする。

 手は心臓の辺りへ、唇を保巳の右の胸へと向かわせる梢子。そのままパクッと保巳の乳首を口に含めた。

 「やぁっ……」身を捩じらすも手で押しのけたりはしない。そもそも両手は服を持つことで塞がっているが。

 梢子の小さな口が保巳の一つの固まりとなった小粒を蹂躙する。最初は甘く啄ばむように口づけをし、

舌で押しつぶしては、味わうように転がす。そしておもむろにきつくきつく吸い上げた。指と舌の位置を

入れ替えてもう片方にも同じように本人いわくの治療を施す。

 「ひゃっ……あっ…ん…んぁ…」その度に保巳の身体はびくびくと跳ねた。なぜか刺激を受けていない

股間の疼きも益々強くなる。ここも病気になってしまったのか。股同士を擦り合わせようとをもぞもぞと

動かすことで何とか疼きを紛らわそうとするものの余計に強くなっていくような気がする。

 「どうかしたのですか?」目聡く梢子が保巳の様子に気がついた。

 「えっと…えっと…」流石にここのところまで言うのは憚れ保巳は言葉を濁すも。

 「わかった、ここが痛むのですね」梢子があっさりと原因を探り当てそこに手を伸ばす。

 「……」

 保巳は一瞬悩む。正確に言うと痛むのではなくジンジンとこそばゆい気がするのだが。しかしこれも

また今までになかった感覚だから治療が必要だろうし、何よりも。

 「それでは診てみますね」下着に手をかける梢子。

 「はい……お願いします、先生」

 保巳は何時しか梢子に触れられることに妙な期待を抱いてしまった。


501 :はじめてのおいしゃさん6:2008/06/20(金) 18:51:42 ID:yH/JhqFh

 保巳は仰向けに寝転び、足を上げて梢子が脱がしやすいようする。梢子はするりと保巳の足から下着を

抜いた。

 「あれ?」

 「ど、どうしました?」やはりどこかおかしいのだろうか。

 「うん……ちょっと見てみて」

 言われるままの方向を見て保巳は驚きで目を見張った。

 保巳の下着から透明な一本の線が伸びていた。それは粘りをもって保巳の股の間と下着を繋いでおり、

しばらくするとそれはぷっつりと切れた。

 まさか。保巳の背筋が凍る。幼い保巳には股の間に出る液体で心当たりがあるものなど一つしかない。

 「いやっ!見ないで」保巳は慌てて起き上がり梢子の視線から逃れようとする。いくら梢子とはいえ、

いや梢子だからこそこんな姿を見せるわけにはいかない。

 しかし梢子はそれよりも早く保巳の股に指を当てその液体を掬い取る。

 「梢子ちゃん!」思わず役を忘れて叫ぶ保巳。梢子は気にせずその液体を指の間でにちゃにちゃと

弄んだ。

 「うーん、おしっこじゃないみたいですね」

 「えっ?じゃあ……」

 「どこから出てるんだろ?」梢子は純粋な好奇心に誘われたのか、その正体を探り当てるために

保巳の身体を押し倒し、再び指を保巳の縦に割れたスジに運ぶ。

 「あうぅっ…」もうこうなったら梢子に任せるしかない。


502 :はじめてのおいしゃさん7:2008/06/20(金) 18:52:15 ID:yH/JhqFh

 梢子の保巳の足を開かせ、ぴったりと閉じていたスジに指をかけ左右に割り開いた。

 「何だかピクピクしてる」

 「……っ」純粋な感想が余計につらい。

 「えっと、良く見えないな……」

 梢子の指が確かめるように割れ目を辿る。すると偶然保巳の花開いていない蕾に触れた。

 「ああっ!」思わず声を上げる保巳。剥きだしの傷口に触れられたような。痛くはないけど痛いほどの

衝撃。今までとは比べようもない何かが保巳を突き抜ける。

 「これも腫れてきましたね」

 そう言って、さも当然のように膨らんできた保巳の蕾に梢子は唾をつけた自身の指を押し付けた。

 「ふぁ…っ!」

 「わっ何か出てきた」

 なにがと思ったものの保巳は問いかける気力がない。それでも梢子は気にせずに、ほらと言いたげに

再度蕾を擦る。「あっ…んっ!」遠慮のない手つきに保巳は震えながらも、梢子の言うとおり自分の

股から何かが垂れてくるのを感じた。そして梢子が液体の出所をじっと見つめているのだということも。

 「この穴から出てるんだ」梢子の指がいよいよ保巳の大事な入り口を探り当てた。

 「だ、駄目…おかしくなっちゃうよぉ……」

 「すぐに終わりますからね」

 保巳が必死に懇願するも梢子は意に介さない。

 そろそろと近づいてくる梢子の指先の感触。保巳は瞼を閉じ、覚悟を決めてこれからのことに耐えよう

としたその時――


503 :はじめてのおいしゃさん8:2008/06/20(金) 18:52:56 ID:yH/JhqFh

 意外な所で二人の遊びは終わる。

 「梢ちゃん、この部屋にいるの?」

 凛とした言葉の後に返事も待たずに襖を開けて夏夜が部屋に入ってきた。

 そして視線を彷徨わせ梢子の姿を探り当てると、ふわりと微笑もうとして――固まる。

 下半身裸の保巳と、その保巳の股の間に指を当てている梢子。どう好意的に解釈しても怪しい絵図で

ある。

 「……」ぱくぱくと口を開いては閉じる夏夜。言葉にもならないほど驚いているのか。

 その態度に保巳もようやく傍目から見ても恥ずかしいことをしていたのだと気づき、顔が火照ってきた。

かなり気まずい。

 「なっちゃん!」それに対し梢子は無邪気に夏夜に話しかける。

 「梢ちゃん……いったい何を」

 「あのね、前になっちゃんが教えてくれたお医者さんごっこをしていたんだ」

 「えっ?ああ……あれね」懐かしいわねと夏夜に笑顔が戻る。

 「今度は私がお医者さんをしたんだよ。なっちゃんがしてくれたマッサージもしてあげたし」えっへんと

胸を張る梢子。

 「偉いわね」夏夜はそんな梢子の頭に手を置いて撫でる。梢子はくすぐったそうに目を細める。

 何だか二人だけの雰囲気になり保巳は唐突に疎外感を感じると共に察した。事の根本的な原因は

誰なのかを。

 「ところでなっちゃん、どうしたの?」

 「ええ、雨も止んだから外で稽古でもしようかと思って」

 「ホントに!?する!する!」体が動かせなくて飽き飽きとしていたのだろう。梢子は飛び上がらんばか

りに喜び、ふと保巳の方に振り向いた。

 「あっ、でも治療の続きしなくちゃ」

 「わ、わたしはもう大丈夫だよ、梢子ちゃん」保巳は心残り半分と同時にほっとする。この先に進むのが

正直とても怖かったからだ。

 「うーん、でも……じゃあ続きは明日しようね」

 「う、うん……」最初と同じように保巳は曖昧に頷いた。

 「それじゃ先に行ってるね」

 夏夜に続いて部屋を出る梢子に手を振りながら保巳はしばし悩む。明日は維巳の番だ。

 素直に姉にこれから訪れるであろう危機を伝えるべきか。そう思う一方今日のことを二人きりの秘密に

したい気持ちもある。

 ――ま、いっか。

 そして保巳は子供ならではの無責任さで考えることを止めた。初めての性の目覚めが保巳の思考を

鈍らせたのも一つの要因である。

 保巳は身だしなみを整えて雨が止んだ光射す庭へと向かう。そこには太陽のように明るい笑顔を向ける

梢子がいるはずだから。まだ一日は長い。姉と交代するまでに梢子と遊べる限りある時間を大切に

しよう。


 翌日、維巳が訳もわからず指を入れられたのはまた別の話である。