854 :「花嫁修業と通い妻〜姫自重〜」 その1:2008/06/02(月) 01:19:34 ID:Va7JdoUk

――梢子先輩の家までの道中でお姫様抱っこ

学校内でなければと言われたことを受け、ダメ元でお願いしてみて正解でした。

青城と先輩の家の中間地点、二人きりになってからになってしまいましたが、

それでも幸せすぎてニヤけてしまいます。

「えへへ、梢子先輩…」

「何?」

「大好きです♪」

「私も好きよ、保美」

そんなこんなで、幸せなままで先輩の家に到着。

「さ、着いたわ」と言われて下ろされて、頬を引き締め、

あら、開いてる?と訝しげにドアを開ける先輩に続き、中に入ろうとすると


「お帰りなさいませ、梢子ちゃん。いらっしゃい、スミちゃん」

ナミお姉ちゃんが割烹着で三つ指突いてお出迎え…?

「ナ、ナミ?!どういう事??」

私の知らない間に習慣となった訳ではないようで、吃驚したものの思わずホッとしてしまいました。

先輩がふと靴箱の上の張り紙に目を向けたところで、

「『梢子へ 桜井のお嬢さん達がお前に用事があるとの事なので上がらせた。

済んだらお帰りらしいから、出かけるのなら戸締りに気をつけるように』…?」

綾代先輩もエプロン姿で出迎えてくださいました。

「スミちゃん、久しぶりです。仲睦まじそうで羨ましいです。」

「梢子さん、保美ちゃん、上がらせて頂いてます。お帰りなさいませ。」

「綾代、ナミ、悪いけど今日は…。」

私と、綾代先輩とナミお姉ちゃんを順に見て、申し訳なさそうにしている梢子先輩。


「そろそろ失礼させて頂くところですから。ですよね、ナミちゃん。」

「梢子ちゃんのお爺様に、少々お話をしてそのついでに。ですよね、綾代ちゃん。」

二人して首をかしげる私達の頭の上には、きっと?が飛び交っていることでしょう。漫画ならば。


855 :「花嫁修業と通い妻〜姫自重〜」 その2:2008/06/02(月) 01:24:33 ID:Va7JdoUk

「梢子ちゃんのお爺様にも問題ないと承諾も頂けましたし、これでいつでも梢子ちゃんに会いに来れます♪」

「「……通い妻?」」

「はい♪」

「私は、花嫁修業の一環という建前ですけどね。梢子さんを愛しているのは私も同じですから。」

お二人に事情を説明して貰いましたが、

「〜〜〜〜〜っ!」

本題ですとばかりに嬉しそうに言うナミお姉ちゃん達の言葉に、

気がついたら私は、茫然と立ち尽くしていた梢子先輩にキスしていました。

ナミお姉ちゃんと綾代先輩に見せ付けるように。


ちなみに、和尚さんと綾代先輩のお父様が、お二人で話し合いをした上で

ナミお姉ちゃんの処遇と卒業後の私の処遇をどうするかについて

お母さんの親戚の皆さんにも話をつけて下さっていたらしいです。


「…んっ…ちょっ、保、美…んっ…」

「む…ぁふ…ぅ…んっ…んっ…」

「まあ…妬けてしまいますね。」

「あらあら、スミちゃん、大胆です…。」


『スミちゃんへ。 梢子ちゃんのお爺様は綾代ちゃんのお宅にお出かけです。

 お邪魔しちゃってごめんなさいね。 維巳』

キスに夢中になっていたので、用事の済んだナミお姉ちゃんと綾代先輩が

書置きを残して帰ってしまったことに気付くはずがありませんでした。