799 :やすみん汁1:2008/06/01(日) 00:01:31 ID:KNAva/cX

 保美は高鳴る胸を抑え、目の前の食材に集中しようとする。豚肉、鶏肉、牛肉――肉肉肉。馴染みの

ないスーパーのBGMが延々と頭の中で繰り返され、肉の塊にいよいよふらつきそうになりながら思い出

すのはルームメイトの少女の姿。帰り際かけられた言葉。

 『ざわっち!またとないチャンスだよ!オサ先輩と――』

 梢子先輩と――

 「私と、なに?」

 「ふゃあ!」

 後ろから掛けられた声に慌てふためく。振り向くとカートを押している梢子先輩の――保美の想い人

の姿があった。

 「ど、どうしたの」

 「えっと、その……梢子先輩とのお買い物、久しぶりだなぁって」

 「そういえばそうね」

 数ヶ月前の合宿の頃を思い出すわと微笑む梢子先輩。そう、あの時色々あったけど保美たちは日常

へと戻り、今は平凡な女子高生として日々を営んでいる。しかし保美の心は生死がかかったあの時以

上に緊張で硬くなっている。

 梢子先輩の家へ、お泊り。

 これから先のことを思うと、保美の心臓は張り裂けそうになっていた。


800 :やすみん汁2:2008/06/01(日) 00:01:54 ID:KNAva/cX

 事の発端は部活中の何気ない会話であった。ふとした拍子に梢子先輩が祖父は旅行、両親は揃っ

て出張ということで明日一日、一人で留守番なのだと教えてくれたのだ。そっか、梢子先輩寂しいだろ

うな、と思いながら素振りに熱中していると。

 「ざわっち、なに甘っちょろく竹刀なんか振ってんの!そんな場合じゃないでしょうが!!」

 なぜか百ちゃんに怒られた。

 「え、えっと、わたし何かしたっけ?」

 「何もしてないのが問題だ!オサ先輩、明日は一人なんだよ?誰もいないんだよ?このチャンスを

逃してなんになる」

 拳を振り上げる百ちゃん。チャンス?チャンスって、まさか。

 「ざわっち!またとないチャンスだよ!オサ先輩と一夜を共……むが!」

 「ちょっ、百ちゃん!」

 その先を言おうとする百ちゃんの口を慌てて手のひらで止める。保美にもようやく百ちゃんの言いた

いことが理解出来た。頭の熱が上がるのがわかる。梢子先輩と、お泊り?一緒にご飯食べて、お風

呂に入って、夜にはナイトスタンドに互いを照らし、向かい合って――――ふつつかものですけどよろ

しくお願いしますと。

 「あー、ざわっち。浸ってるとこ悪いけど、ざわっちもオサ先輩の家にお泊りしたいということだよね?」

 「えっ、えっ」思考が遥か彼方へと飛んでいた保美は返事をすることが出来なかったが、そこは保美の

おはようからお休みまでを見守る百ちゃん。保美の思いなどお見通しで。

 「じゃあ、今からオサ先輩に掛け合ってくるわ」

 「えっ、えっ、百ちゃん?」

 保美が止める間もなく、いやそもそも止めるつもりなどさらさらないのだが、百ちゃんは梢子先輩の

元へ行き話を進めてゆく。

 「保美が私の家に?」話を聞いた梢子先輩は保美の方へと視線を移す。俯く保美。突然でびっくりす

るだろうな。いやだな、変な子って思われたらどうしよう。

 「別に構わないけど」

 ぶきっちょながらも予想外の、しかし保美が密かに期待していた言葉に顔を上げる。梢子先輩は仏頂

面だった。しかし心なしかその頬にはほんのり赤みが差しているような気がした。


801 :やすみん汁3:2008/06/01(日) 00:02:39 ID:3o7DdMRAv

 ――そして今に至る。今日の夕飯と明日の朝の献立のための買い物。梢子先輩が何時も寄るという

彼女の近所のスーパーで肉と睨めっこする保美の過去へと飛んでいた意識は。

 「保美?」

 「は、はい!梢子先輩は牛肉がいいですか?それとも豚肉派ですか?」梢子先輩の声でようやく引き

戻らされる。

 「そうね、どちらかと言うと豚肉かしら」

 「了解です」

 不自然に見えないようににっこりと微笑みながら豚肉のパックを梢子先輩が押しているカートに入れ

る。今晩は定番の肉じゃがだった。

 二人の買い物は続く。保美はちらしを片手に必要なものを手早く、それでいながらしっかり値引き品を

手に取る。梢子先輩はカート押し係り兼、保美の補佐。保美が梢子先輩の口に合うのだろうかと判断

に迷っている時に「これ結構好きなのよね」と手助けしてくれたり。「ねえ、保美。これとかは――」たま

に必要外のものを買おうとするので保美がやんわりと諌めたりもするが。

 そんな二人の姿は周りにどう映るのだろう。仲のいい先輩後輩?友達?こ、恋人?いやいや――

 し、新婚さんって思われたりして……

 「保美」

 「えっと、今日は先にご飯にしましょうか?それともお風呂?それとも……」

 「?レジ、順番来たわよ」

 「……はい」

 首をぶんぶん振って邪念を追い出す。何だか今日は色々駄目になりそうな予感がした。


802 :やすみん汁4:2008/06/01(日) 00:03:19 ID:3o7DdMRA

 「ただいま」

 「お邪魔します……」

 玄関のドアが開かれると中には不在中の家ならではの静けさが漂ってきた。

 「誰もいないからくつろいでね」

 「はい」

 あっ――靴を脱ぐために梢子先輩の手が保美の手から離れる。

 帰宅の道中、二人はどちらが先かはわからないけれど手を繋いで歩いてきたのだ。幸せな一時だっ

た。片手には買い物袋。片手には梢子先輩の手。夕陽に伸びた二人の影が重なって――本当の家

族になったような暖かい瞬間だったのに。

 梢子先輩の手を掴もうとしてぐっと堪える。名残り惜しいけどしょうがない。まだ今日は長いのだから。

 買い物袋を台所に置き、早速食事の支度に取り掛かる。その前に着替えようかと思ったが保美は

寝巻きしか持ってこず、梢子先輩もそんな保美に合わせてか制服姿のままだった。

 「やっぱりあの時を思い出すわね」

 じゃがいもの皮を剥きながら梢子先輩がしみじみと呟く。一緒に買い物、そして二人っきりで料理。

場所も異なり着てる服ももう夏服ではなくとも一年前の卯奈咲での場景を繰り返しているようで――

あの時の保美は身体がとても弱く、多くの人に迷惑を掛けてしまった。そんな自分を受け入れてくれ

たのが梢子先輩で――先輩は保美のためにその血を与えてくれた。

 保美の唇を濡らした熱くも甘い血の味が甦る。呑まずに大分日が経つというのに未だに鮮明に思い出す。

 もしかして――とくんと胸が鳴る。

 これもまた繰り返されるのだろうか。

 そうだ、先輩も落ち着いた場所なら大丈夫だって。その証拠にほら。真っ赤な血がつつっとまな板に

落とされて――

 「や、保美!大丈夫?」

 「えっ?えっ?」

 はっとする。梢子先輩が保美の手を掴んだのだ。

 「指!指切ってるわよ」

 えっ?混乱する頭で保美は自分の手を見る。左手の人差し指を染める赤い血。牛肉を刻んでいるは

ずの右手が指を切ったのだ。料理のベテランである保美にあるまじき事態。考え事をしていたせいだ。

しかもよりによって梢子先輩の血をまた呑みたいなんて。

 「あう……」穴があったら入りたい。梢子先輩の顔をまともに見れそうも無い。じくじくと痛む指の

怪我をようやく認識する。

 「まったく、救急箱取りに行くからちょっと待って」

 梢子先輩が背を向ける。繋がった手を離すのはこれで二度目。保美を治療するために梢子先輩は離

れるのだ、と頭ではわかっているものの指の痛みと流れる血と、そして心細さが相まって保美は知ず

右手で梢子先輩の袖を握った。

 「保美?」

 「……」

 「ほら、離して」

 優しく話しかけられるものの一度掴んだ梢子先輩を手放すのが嫌で保美は駄々っ子のように首を振

り続ける。ああ、子供みたいで恥ずかしいな。それでも保美は梢子先輩を離さんがために自分でも驚

く言葉を放った。

 「治療なら、舐めれば治るというじゃないですか」

 ただ梢子先輩はこの場に止めようとするために出た言葉。それがあんなことを起こすことになるなん

て――保美は思いもよらなかった。


803 :やすみん汁5:2008/06/01(日) 00:03:52 ID:3o7DdMRA

 まったく、参ったわね……梢子は気が遠くなる思いで己の袖を掴む保美を見下ろした。今日の保美は

どこか心あらずで、梢子はそれが保美が自分の家に来て緊張しているせいだと判断した。指を切った

一因もそれであろう。だから梢子は保美が怪我をしたのに責任を感じ、一刻も早く治療をするために救

急箱を探さなくてはならないというのに当の保美がそれを阻んでいる。

 きっと慣れない他人の家での怪我に不安になったのだろう。梢子はそう思い、最大限穏やかに声をかける。

 「ほら、離して」

 なのに保美は返事もせず首を左右に振るばかり。どうしたのだろう。何時もと違う様子に梢子は戸惑

いは重なるばかりである。しかも保美の口から出た言葉に当惑は膨らみ、梢子は硬直してしまった。

 「治療なら、舐めれば治るというじゃないですか」

 えっ、今なんと?狼狽を隠せず保美を見るも保美は瞳を潤ませ首を傾げながら梢子を見上げるばか

り。そ、その表情は止めてほしい。梢子の弱点の一つであった。

 ああ、もうどうしたというのだ。こうしているだけでも保美の指からとめどめなく血が溢れ、零れ落ちる

というのに。なんと勿体な――いやいや、とてもじゃないけれどもう見ていられない。この場で留まりな

がら保美の血を止める一番の方法は――保美も言ったではないか。舐めれば治ると。

 だからこれは純粋な治療行為であって、決してやましいものではなく、大体保美にも過去に血を与え

たのもそういう意図ではなかったのだから。そうだそうなのだ。そうに違いない。梢子は無理やり自分も

納得させ保美の左手を取り、血の流れる指を自身の唇へと引き寄せ――

 その指を舐め取る。

 びくり、と保美の指が震えた。構わず舌に血を絡ませる。熱く、錆びた鉄のようでありながら、他のな

にと例えようも無い独特の味。粘りが喉を通り過ぎる。これが保美の味なのか。どこか甘い、癖にもなり

そうな。健康になった後も保美が自分の血を吸おうとした理由をわかるような気になった。


804 :やすみん汁6:2008/06/01(日) 00:04:23 ID:3o7DdMRA

 「……ん」

 保美の密かな声と、以前は呑ませる側だったのに今は逆転している立場が余計に梢子を興奮させた

のだろうか。保美の血を吸うごとに梢子は自身の視界が霞んでくるのを感じた。血を呑んでいると言う

のに貧血にでもなったのだろうか。いや、これは貧血なんかではない。身体がこんなにも熱く、疼いて、

細胞の一つ一つが組み換えられたかのように全身がふつふつと沸き立つのだから。

 それにしても何故だろう。目の前の光景が膜を張ったかのようにぼんやりとしているのに、制服で隠さ

れていない保美の肌の白さばかりはやけに目に付く。袖から伸びた腕の白さが、スカートで覆われてい

ない太腿の眩さが、繊細で儚げな首筋が。

 「しょ、梢子先輩?その……もう大丈夫ですから」心なしかその声質が怯えているような気がする。

 保美が言ったように保美の指から流れた血はとうに止まり、梢子の舌でねぶられた指はふやけてしま

っている。そう、この指からは何も吸えない。この指からは――

 ならば他のところはどうであろう。例えば、そう。その下になみなみとした血が流れているであろう首

筋には。

 「あっ……ん!」保美が声を張る。思うが侭に梢子が保美の首筋にかぷりと歯をたてたからだ。その

首筋の産毛は逆立ち、その身体は強張っている。吸うのに邪魔なので保美の制服のネクタイをゆるま

せ、ブラウスのボタンを一つ外す。

 「やっ……梢子先輩、突然どうし……んっ」

 ちゅっと母乳を吸うかのように力強く吸い付ける。くすぐったいのか保美が身を捩る。身に覚えがある

から保美の反応の意味がわかってしまう。

 突然どうして?どうしてなのだろう。梢子自身も理由がわからない。ただ保美の血を吸った途端に眠

った何かを呼び覚まされたかのように保美を求めるようになった。これが自分の本能なのか。それとも

保美の血には別の何かを呼ぶ力があるのだろうか。どちらにせよ原因は保美の血に、そしてそれを舐

めろと言った保美にあるのだから。

 「ほら、先輩。まだ夕飯の支度中すから、ね?」

 保美が必死に宥めるも、梢子の心には届かない。また立場の逆転だ。今度は梢子が駄々っ子と化し

ている。

 「今は保美が食べたいわ」

 普段なら何があっても梢子の唇からは絶対出ないだろう言葉。まるで人が変わったかのように食欲以

上の欲情が梢子を突き動かしている。

 保美は顔を紅潮させながら、観念したかのように目を伏せた。


805 :やすみん汁7:2008/06/01(日) 00:04:56 ID:3o7DdMRA

 保美の両手を取り、床に組み伏す。硬い床に沈まれ息を飲む保美。梢子は露になった保美の首を再

びちろちろと舐める。たとえ理性を失くそうとも梢子は保美を傷つけることを是とせず、代わりに薄い皮

膚に触れることで保美の甘美な血の熱を感じ取ろうとする。

 「はぁ…ん……」

 再びきつく吸う。梢子の唇から漏れ出る唾液が保美の首筋を浸す。唇を離すと保美の首には紅い痣

が残され、唾液によって照らされていた。紅。血が滲み出た証に梢子の心はざわめく。

 「だ、駄目……先輩」そういうものの保美の身体からは明らかに抵抗の気配がない。たとえあったとし

ても止める自信が梢子にはなかった。止める位ならそもそも始めない。それにまだ足りない。もう血を

吸えない分、保美の肌に触れない以上は満たされない。もっともっと――欲望の赴くままに保美の隠さ

れた肌を曝そうと保美の制服のネクタイに手をかける。震える保美。普段着慣れてる分、解かすのも難

がなく、するりとネクタイが保美の首から離れる。まるで束縛から解放したような瞬間。続けてスカート

のボタンを外す。こういう時、青城の制服は脱がしやすいと改めて実感する。スカートを抜き取ると保美

の眩い太腿が現れた。そこに口づけを落とし、今度はブラウスのボタンへと。その次はキャミソール、そ

してブラジャーと、梢子は徐々に保美の肌を露にしてゆく。その間辺りを響かせたのは衣ずれだけだった。


806 :やすみん汁8:2008/06/01(日) 00:05:34 ID:3o7DdMRA

 ついにショーツ以外の保美の全てが梢子の目の前で広げられる。その白い肌は羞恥に染まっていた。

 「いや、梢子先輩……」弱々しい言葉を吐く保美。

 「何が嫌なの、そんなこと言ってるくせにここはこうなってるじゃない」そう言いながら梢子は保美の乳

房の中央にある硬くなった先端を捻る。

 「ああっ……!」身もだえる保美。その拍子にぶるりと胸が揺れ、梢子の劣情を刺激する。それに招

かれるかのように保美の乳房を口に含む。ふわりとした感触。片方の乳房は左手で覆って円を描き、

口に入れた乳房の頂を甘噛みする。その度に保美の身体が大きく震え、甘い啜り声が漏れた。

 胸を愛撫しながら梢子の右手がショーツへと向かう。

 「しょ、梢子先輩。ま、待って」保美が哀願するも、抵抗のないその様子から、それが本心でないのは

誰が見てもわかること。だから梢子はショーツの手を差し入れ、保美の中心に直に触れる。

 「んっ……」

 ――熱い。そこはどの部位よりも熱かった。わずかに湿ったそこをとんとんと指で叩くと、すぐに中か

ら液が溢れ梢子の指を濡らす。

 「少し触っただけなのにもうこんなになるなんてね」

 「……」

 恥じらいによる沈黙に異を介さず梢子は濡れた指を舐めとった。

 「えっ」驚きで声を上げる保美。

 「んっ……血ほどじゃないけど、やっぱり甘いわ」

 指を再び保美の内に入れ、液を浸す。そしてすぐに引き抜き指を保美の前に差し出した。

 「あなたも舐めなさい」

 「あ……」

 硬直したまま梢子の指先を保美は見つめる。しかし梢子がさあ、と唇に指を寄せると、瞼を閉じ、唇を

わずかに開かせてそれを受け入れた。

 保美の梢子の指を口に含むと、その舌で梢子の指を舐め始める。ぴちゃぴちゃと子猫がミルクを舐め

るよりも頼りない音。最初は人差し指の先だけを舐めていたが、何時しか指の間へと伸び、その隣の指

に移り、やがて右手全体をしっかりと舐めとるようになる。保美の唾液が梢子の身体にも熱を与え、梢

子の下着を湿らせる。

 「保美、もういいわ」

 「ん―――」

 名残り惜しく保美は梢子の指を離す。とろんとした眼差しで梢子を見つめる保美。

 保美が本格的に堕ちた瞬間だった。


807 :やすみん汁9:2008/06/01(日) 00:06:08 ID:3o7DdMRA

 保美の両膝に残っていたショーツを抜き取り、保美に低い声で囁く。

 「保美、足を開いて良く見せて」

 「はい……」

 保美はゆっくりと、それでも梢子の指示通りに動く。保美のどこよりも大事なそこが梢子の目の前に

広がる。淡い紅色の秘裂が梢子を誘うがごとくひくついていた。

 「綺麗よ、保美」

 保美の足の間に顔をうずめ、唇で距離を零にする。湧き出る蜜のように甘い保美の液を一滴も残さな

いためにしっかりと啜る。

 「梢子、先輩……はぁっ…やっ……」

 呑んでも呑んでも溢れ出る液。蓋を閉めるかのように梢子は舌を差し込み、更なる密着を重ねるも、

隙間から液が零れ落ちる。舌の差し入れを繰り返す。今までのどの瞬間よりも大きく淫らな水音が梢子

の耳に溶け込む。

 「……あ、んんっ……ぁっ!………」

 快感で身を捩じらすのは保美だけでなく、梢子も自身の内股の湿りが広がるのを感じる。液の甘さに

溺れてるのか、それともこの行為自体に興奮しているのか。梢子自身もわからない。理解しようという

気も起きず、ただこの瞬間に夢中になる。

 「ふぁっ……あぁぁ……しょ、梢子、せんぱい」

 途切れ途切れの声と大きく震える身体に保美の限界を感じる。梢子は一旦泉から唇を離し、保美に

告げた。

 「いいわよ、イキなさい、保美」

 そして梢子は濡れそぼった保美のどこよりも敏感な花芯を指の腹で強く押す潰す。

 「ああっ…!!ああああ―――!!!」

 すると保美の身体は大きく跳ね、それからゆっくりと崩れ落ちた。


808 :やすみん汁(ラスト):2008/06/01(日) 00:06:47 ID:3o7DdMRA

 ど、どうしてこんなことに。息も絶え絶えに、横たえながら保美は事の原因を思い出そうとして――

諦める。

 「や、保美。大丈夫?」

 なにせ保美にあんなことやこんなことをした本人が一番狼狽しているのだから、きっと誰にもわからな

いことなのだろう。

 「ううっ……梢子先輩、突然ひどいです」

 最初はベッドでロマンチックに、という保美の夢も見事に儚く去っていった。とはいえ保美自身も途中

で満更でもなくなったので梢子ばかりを責めることは出来ないのだが。

 「ご、ごめん。私、どうにかしてた」

 真面目な梢子先輩は完全に自分だけに非があると思い、頭を垂れる。少し可哀相な気もしたが、せっ

かくの機会なので保美はこの状況を最大限に活用することにした。

 「責任……取ってくれますか?」

 「もちろん」

 即答。

 「なんでもしてくれますか?」

 「ええ、私で出来るのならば」

 「じゃあ、まずは……」

 梢子先輩の身体に身を寄せ、保美は唇を突き出す。

 「キス、してください……」先ほどの行為の中でついぞ無かったこと。一番大切な愛し合っている者同

士の儀式。

 梢子先輩は赤面し――あそこまでしてどうして?と首を傾げる思いながらも――頷く。そして保美の

肩に手を置き、顔を近づかせ――

 互いの唇を触れ合わせる。時間にして数秒。されど保美の心拍数を再び高めるには充分だった。

 「こ、これでいい?」

 「はい……」

 向き合い真っ赤になる二人。甘い一時もほんの一瞬。誰からかグーっとしたやや間抜けとも言える音

が響いて――そう、腹が減っては何とやらだ。

 「保美、とりあえずお風呂に入って。夕飯は私が準備しとくから」

 「えっと、はい、じゃあお言葉に甘えて」

 最初はわたしが梢子先輩にご飯を作ってあげるつもりだったのにな、でもこれはこれで、と嬉しい気

持ちで保美は周囲に散乱した服を掻き集める。

 梢子先輩の案内で――その間、裸で恥ずかしかったけど――お風呂場に入る直前、保美は梢子先

輩の耳に唇を寄せ囁いた。

 「夜は、わたしから…してもいいですか?」

 その言葉に梢子先輩は傍目にもわかるほどに顔を紅く染め、首を縦に振った。


 それにしても――保美は悩む。明日、百ちゃんをどうやって誤魔化そう。