――桂、キスってしたことある?

「えっえぇぇぇっ!?」

 あまりの唐突な質問に、桂は驚きを隠せないでいた。それはそうだろう。先ほどまで私はアレは何?アレは?と、周りの物の事ばかり聞いていたのだから、桂もいきなりこんな質問が飛んでくる事とは思いもしなかっただろう。

 私だってこんな事を言ってしまった事に驚いているくらい。

 でも馬鹿正直な桂は、顔を真っ赤にさせて、小さな声で、言った。

「……ないよ」

――聞こえなかったわ

 ふふっ、これくらいの事で赤くなるなんて、桂もまだまだ子供ね。

 もちろん、先ほどの声は聞こえていたけれど、意地悪で言ってみる。桂はまた顔を真っ赤にして

「な、ないってば」

 と、精一杯声を絞り出して言った。

――ないの?

 言葉は今度は返ってこない。かわりに、小さく首をうなづいて返事をしてくれる。まぁ、ないとは思っていたけれど。……なんて言ったら桂は怒るかしら?



 桂は、ぎゅーっと、傍にあった自分のまくらを抱きしめてハァとため息をつく

「皆に言うと、絶対おくれてる。なんて言われちゃうから……内緒ね、あはは……」

 ……この子は自分のかわいさっていうものを分かっているのかしら?

 まくらに顔をうずめて、こんな事言わせないでよ。と、照れる桂の姿は、同じ女の私から見ても可愛らしくて、苛めたくて。

――桂ってどんくさそうよね

 ちょっぴり意地悪な事を言ってしまう。

「えっ、そ、そうかな?」

――えぇ、初めてのキスの時とか、息を止めてなきゃいけないーなんて思って息を止めて止めて止めすぎてそのまま酸欠になって病院送りされそうね

「そ、そこまでドジじゃないわよ私!」

――絶対そうね

「どこからそんな根拠がでてくるのかなぁ……うぅぅ」

――……私が、練習につきあってあげましょうか?



 私がそういうと、桂はうずめていた顔を、パッと上げた。

 ノゾミちゃんが何を言ったかわからない。という顔。

 だから、私は。

「私が練習につきあってあげるっていったのよ」

 人の姿に成り、足を地につけた。

 いきなりの展開に桂はついていけていないらしく、ただボーッと私を見ている。

 そんな桂の手をとると、軽く、親指をかませてもらった。

 贄の血。それがあれば、少しの間くらい、私は実体をもっていられる――

 軽く血をのみほすと、私はゆっくりと言葉をはなつ。

「ほらほら、その無防備さがダメなんだってば」

 私はそういってにまりと笑うと、桂の肩に両手をおき、自分の唇を桂の唇に重ねた。

「……っぁ!」

 数秒の間だった。すぐに私は桂から離れると、桂の唇の感触が残る私の唇を人差し指で軽く触れた。

 まだ、桂の唇が自分の唇に重なっているような、そんな感覚が在る。

「ノ、ノゾミちゃん……?」

「あなたがそんなだから、私が指導してあげるっていってるのよ。ほら、初めてだと上手くいかないかもしれないじゃない?だから練習しておくのよ」

「で、でも……練習しちゃったら初めてっていわないんじゃ……」

「女同士じゃない」

「そ、それもそうだけど……あの……」

「私のキス、嫌だったの?」



 少し悲しそうな顔をして桂をじっと見つめる。

 桂は両手をぶんぶんと横にふり、違うんだよ、と、否定してくれる。

 ふふっ、素直なところがやっぱり可愛いわ。

「そうだよね……練習も必要だよね、うん……」

「じゃあ、いいのね?」

 桂がゆっくり頷く。それを確認して、桂の唇にまた自分の唇を近づけた。

 桂の吐息が感じられるほどに、私たちは近い距離にいる。

 こわばった表情、どきどきと高鳴る心臓の音までこちらに聞こえてくる。

 温かい体。ぎゅっと瞳をとじている……本当に可愛らしい桂。

 私はそのまま桂の唇に自分の唇をまた、当てた。

「……桂、本当にあなたは馬鹿ね」

「ば、馬鹿?」

「口を、あけなさいよ。ずっと唇を貝の蓋のように閉じているつもり?」

 私が指摘すると、また桂がカッと顔を赤くする。

「うー……口、あけるの?」

「えぇ、じゃあ、もう一度ね」



 私がそういうと、もう一度桂は唇を閉じた。

 私はまた、先ほどと同じように唇を押し当てる。すると、先ほどとは違って、おそるおそるだが、桂の口がゆっくりと開かれた。

 ……ふふっ、言いつけどおりにするなんて、本当に可愛い。犬みたいな子ね。

 私は開かれた口の中に、自分の舌を絡みこませた。

 桂の舌を私の舌で絡めて。全てを覆い尽くすように。快感に浸る――

「ふぁ…ぁ…んぅ…」

「んっ……んんっ」

 離れようとする桂をぎゅっと押さえつけ、更に押し付けた。

「んっぁ……ノゾミちゃん……」

「ん…ふぁ……何?桂」

「そ、その……気持ち…いい・・・・・・」

 ポツリとつぶやく桂。顔は紅潮し、とろんとした目で私をじっと見つめる。

 どくん…どくん…

 桂の心臓が先ほどよりも早く脈打っている事が分かった。


「ふふっ、甘え上手な子」

「ノゾミちゃん・・・・・・私・・・あっ・・・・・・」

 私は、もう一度桂にキスをすると、桂の胸に手をあてた。

「んっぁ!」

「……軽く触っただけなのに、面白い反応をするわね、桂」

「だ、だって……」

 もう一度、触る。びくんっ。身体がはねあがる。今度は、優しく、押し付け、もんでいく――

「ひっぁ…ぁっ…んっ……ノゾミちゃ……」

「……感じやすいのね、桂は」

 唇を離すと、今度は首筋にキスをする。

「ふぁ…あぁっ!」

 桂が小さく喘ぐ、身体をびくびくっと震わせ、ただ私のしている事に抵抗しないで、これからされる行為を待っている。

だから私は、桂の要望に答えてあげる――



 ゆっくりと、服の間に手を忍び込ませ、小さく突起している部分に手をゆっくりとあてた。

「んっ……ひゃ……」

「少し触っただけなのに、固くなるのね? ……そんなに気持ちいいの?」

「う……うん」

 どこまでこの子は素直なのだろう。私は上機嫌になり、そのまま指を下へとスライドさせていく

「やぅぅ……ノゾミちゃん、手つきがやらしいよぅ……」

「あなたがあまりに面白いからいけないのよ?」

「面白い……?」

「そう……ほら、こんなに濡らして……」

「やっ! ……これは……ぁ」

 スカートの下。ゆっくりとそこを指で押してやる。桂は過剰に反応し、パッと足を閉じる。

 だけど私はそれを許さず、両手で足を開かせた。

 抵抗無く、おそるおそるだが、桂は足を開いてくれる。

 ……本当に、素直で可愛い子。

「……ノ、ノゾミちゃ……ん」

 割れ目をなぞるように指でいじると、桂が面白い声で何度も反応してくれる。

「ふふっ、いけない子ね……」

 私は桂に軽くキスをすると、指を割れ目の中へとゆっくりと沈ませた。

「んっふぁ……ぁぁぁんっ……!」

「桂……いい声を出すのね、ふふっ」

「ノゾミちゃ……ん、わ、私……ん……あぁっ!」

 指をゆっくりと抜いて、そしてまた沈めてを何度も繰り返す。

 桂の身体はびくびくっと反応し、その行為にただ身をゆだねる。

 ゆっくりだった指の動きも、しだいに早くし動かしてさらに桂をいじめていく――



「んっは……あぁぁっ!んっ……っっつ……ぁぁ……」

「ふふっ……気持ちいいのね?桂。いいわよ、いっても……」

「んっぁ…わ、私……!おかしいよぉ……も……う、ダメぇぇ……!」

 ぐりぐりとかき乱すように指でいじると、桂は今まで以上に大きな声で喘いだ。

 そして――水が滴るような音を出し、桂の身体がいきなりビクンッと跳ね上がるように動くと、桂はぐったりとして私にもたれかけてくる。

 私は桂が、『イッた』事を確認すると、桂の秘所にうずめてた指を抜き出し、桂からでたその液体を音をならしながら指を舌で舐めていく。

「はぁ……はぁ、ノゾミちゃん……汚いよ……?」

「おいしいわよ?とても……」

 私はそういって全てを舐めほすと、にこりと笑った。

 ふふっ、本当にこれから毎日楽しくなりそう。周りは新しい環境で、面白いものがたくさん。

 でも、一番おもしろいのは……やっぱり羽藤桂だわ。



――するっ


「け、桂!?」

「私ばっかり気持ちよくなっちゃってずるいよね?……お礼、してあげる」

 いきなり……桂が私の着物をどんどん脱がして――!?

「ちょ、桂!!まっ……う……んんっ!」

「えへへ?どう?いっぱい練習させてもらったから、上手くできたんじゃないかな?」

 桂の舌が、私の舌をからみとって……私の中を支配していく……?

「んっぁ…ぁぁっ!……桂!ちょっと……!」

「えへへ。ノゾミちゃん可愛い」

「ぁっ…ふぁぁっ……!」

 私をいじめるように、桂は私の首を、胸を、舌で舐める。

 それは、不思議な感覚が体中を覆って、麻痺してしまいそうで……

「やっ!!……桂……ちょ、ちょっと……」

「ノゾミちゃんは、嫌かな?」

「う……」

 この可愛い犬みたいな子は……そんなにうるうるした瞳で見られたら……断れないでしょう。

「……嫌……じゃないわ」

「よかったぁ、じゃあ、私に全部、まかせて?」

「ちょっ!桂…まっ…ひ、ひゃぁぁっ!」

 可愛い可愛いと思っていた犬みたいな子が、まさか狼にばけるなんて思いもしなかったわ。

 私は、そのまま桂に身体をゆだねると、すぅっと目をとじ、今されている行為を素直に楽しむ事にした。

 ・・・・・・本当に、面白い子だわ、羽藤桂。