今日は経観塚を離れ、わたしの地元に帰る日。


「桂さん、それではまた。そのお守りがあれば当面、危険は無いはずだけど

 何かあったらすぐに連絡して欲しい。」

「うん、ありがとう。烏月さんも元気でね。」

烏月さんは次の仕事があるとの事で、朝早くに屋敷を出発。

数日前から現場に向かっている葛ちゃんと、合流するとのこと。

「ん〜いい朝だ。変な奴がいなくなったからかねぇ。」

...しばらく経って起床したサクヤさんは、妙に機嫌が良かった。


「で、桂はどうするんだい?」

お昼ごはんの後、柚明お姉ちゃんと3人でお茶を飲んでいる時のこと。

「へ?」

「...今日、家に帰るんだろう?あたしの車に乗っていくかい?」

「うーん...」

どうしようか。3人で、サクヤさんの車に乗って帰るのもいいけど。

でも、どうせなら。

「...桂ちゃん?」

うん、柚明お姉ちゃんと二人で電車に揺られるのもいいかなあ。

「サクヤさん、わたし、柚明お姉ちゃんと電車で帰るよ。」

「ふん、そうかいそうかい。せっかく人が親切に...」

案の定サクヤさんはぶつくさ言ってるけど、仕方ない。

だってわたしは...そうしたいんだから。

「ごめんね、サクヤさん。でもあの、ほら、柚明お姉ちゃん車に乗るの久しぶりだから

酔っちゃうかもしれないし...」

「それは大丈夫よ、桂ちゃん。」

優しく諭されてしまった。


「じゃあ、あたしは行くよ。桂、あんたは色々無理するんじゃないよ。

まあ今は柚明もいるし、心配はしてないけどさ...あと、レバーを食べること。」

「ええっ?レバーは嫌だよ。それに、もう必要ないし。」

「うっ...ま、それもそうだね。」

ちょっと残念そうなサクヤさんだった。

 

サクヤさんが帰った後、わたしはさっそく荷造りを開始。

と言っても、洗濯しておいた着替えを詰めるくらいなので

ものの30分ほどで準備完了。

あとはバスの時間までのんびりできるかな?

そんなことを考えていた時。


「...アァ〜わたしの桂ちゃんは〜16歳〜♪...」


何だろう。歌が聞こえる。


「柚明お姉ちゃん?どうかしたの?」


―ガラッ


突然、引き戸が開いて。

何かが―


わたしに覆いかぶさってきた。




「んんっ...ぴちゃ、ぴちゅっ...美味しいわ...」


温かい舌が、細い蛇のようにわたしの身体中を舐め回す。


その間、空いた右手がわたしの淫豆を執拗に探り、

左手の親指と人差し指は左右の乳首を交互に刺激する。そして


「あら、桂ちゃんの乳首...こんなに硬くなっているのね。」


そんな言葉でわたしの中に残る微かな抵抗心を犯すことも、忘れていない。




柚明お姉ちゃん...どうして...わたしの身体が目的だったの...?



...だとしても...わたしはもう...






― それから後のことは、あまりよく覚えていない。



「...ちゃん」



なぜなら、わたしの記憶の入口は、再び濃い霧に阻まれていて。



「桂ちゃん...今度はね...」



...そのまま、青い闇の中に回帰しようとしているから...








青い縛め END