299 名前: 途中で頓挫しても許してね Mail: sage 投稿日: 05/03/08(火) 23:11:29 ID: HEBKE5W+

ーーこんこん。

ノックをしてサクヤさんの部屋のドアを開ける。

「あの〜サクヤさん?」

寝っ転がっていたサクヤさんがだるそうに振り向いた。

「あん?…何か用なのかい?」

むうっ。まだ何も言っていないのにすごい嫌そうな顔をしている。

「ちょっと頼みたいことがあるんですけど、今度のーー」

「ーー今忙しいから出ていっておくれ!!」

ーーぴしゃん!!

話の途中で無理矢理追い出されてしまった。

ーーう〜ん、いつもプラプラしてるサクヤさんが今に限って忙しいはずなんて

ないんだけどなぁ…。

何か怒ってるのだろうか。



そういえばここ最近サクヤさんは私に対して冷たい気がする。

たまに視線があっても「ふん!!」とそっぽを向いてしまったり。

話をちゃんと聞いてくれなかったり。

叔母さんたちには普通に接しているのに…。私にだけだ。

何か原因があるのだろうか…。


300 名前: 途中で頓挫しても許してね Mail: sage 投稿日: 05/03/08(火) 23:29:12 ID: HEBKE5W+



「ねえ、桂ちゃん?」

「ん?なぁに、柚明お姉ちゃん?」

膝の上に載せてあやしていた桂ちゃんに尋ねてみる。

「どうしてサクヤさんがぷりぷりしてるのか知らないかしら?」

桂ちゃんは頭の横で指をくるくる回している。どうやら考え中のポーズらしい。

「え〜と、え〜と…う〜ん、わたしにはわかんないや。

 でも、そういうことはサクヤおばちゃんにじっさいに聞いてみたほうが

 いいいんじゃないかなぁ」

「あっ…それもそうね」


まさに桂ちゃんの言う通り。こういう事は本人に直接聞いてみるのが

一番手っ取り早い。

というわけで、私は今日の夜にもう一回サクヤさんの部屋を

尋ねてみることにした。


304 名前: 294も頑張れ Mail: sage 投稿日: 05/03/10(木) 00:17:56 ID: qnQeDxFr




「ーーそしてたんたはヒョウのじろうと…あら?」

「くぅ…すぅ…」

「…ふふ…」

桂ちゃんはすでに眠ってしまっていた。

はだけていた毛布をかけ直してあげる。

ーー近頃は桂ちゃんを寝かしつけるのも日課の一つになった。(お休み前の朗読会だ)

…ちょっと前まではぴーぴー鳴いているだけだったのになぁ。

桂ちゃんはしゃべるのが格段にうまくなってきている。自分の思っていることも

簡単にだけれど説明できるようになった。

いわゆる第二次性徴というものなのだろう。

スポンジのようにどんどん新しいことを吸収していこうとする桂ちゃん。

そんな桂ちゃんにいろんなことを教えてあげるが楽しくてたまらない。

本を読んであげるだけでもワクワクしてたまらないようだ。

「柚明お姉ちゃ〜ん、もっとご本読んでよぅ〜」だなんて。

ふふふ…自分の子どもができるってこんな感じなんだろうな…。

私は桂ちゃんのほっぺたにキスをすると、子ども部屋を後にした。

自分の部屋に向かおうとして、はっと思い出した。

桂ちゃんに構いっぱなしで忘れかけてしまっていたが、今日はもう一つ重要な

用事があったのだった。


305 名前: 名無しさん@ピンキー Mail: sage 投稿日: 05/03/11(金) 04:14:23 ID: 8DeqzW57


廊下でちょっと考え事。

一体何でサクヤさんは私に冷たくあたるのだろうか。

例えば…私がなにか大事な約束をすっぽかしてしまったとか…。

それともたんに私の態度が気にくわないとか…。

う〜ん、これといって思い当たることはないのだけれど。


ーーそれにしてもサクヤさん、もし何か不満な所があるんだとしたら

はっきりと正面切って言ってくれればいいじゃない。

あの態度はちょっとあんまりではないだろうか。

なんだかちょっぴり腹が立ってきた。



ーーこんっ!!

私はノックも早々に部屋へと入っていった。

「サクヤさん、ちょっといいですかっ」

「ーーうわわっと!!」

サクヤさんは仕事机で雑誌かなにかを読んでいた。

それをとっさに引き出しに隠してこっちに向き直る。

「ちょっと聞きたいことがあるんですけど」


306 名前: 名無しさん@ピンキー Mail: sage 投稿日: 05/03/12(土) 11:10:00 ID: OdNQHDMN


「ゆ、柚明!?…一体なんなんだい?こんな時間に。

 …あたしはもう寝るところだったんだけどねぇ」

サクヤさんはろくに私の目も見ないで答えた。

むっ、またそういう態度を取る。どう見てもそんなふうには見えなかった。

「ーーサクヤさん、この頃なんだか冷たくないですか?」

「…別にそんなことないよ」

ーーむかっ。

「ーーそんなことありますよ!!今だって適当なことを言って

 追い払おうとしたじゃないですか!!

 最近まともに話すら聞いてくれないし。

 …私に何か気にくわないところでもあるんですか!?」

ーーサクヤさんの目が一瞬泳いだ。どうやらその通りらしい。

「…何にもありゃしないよ。もう寝る時間だよ、ほら出て行った!!」

「ーーサクヤさん!!」

サクヤさんは私の腕をつかんでむりやり外に追い出そうとする。

私は…本当に…心の底からサクヤさんと仲直りしたいと思っているのに…。

なのに…サクヤさんはどうしてこう邪険にするのだろうか。


308 名前: 名無しさん@ピンキー Mail: sage 投稿日: 05/03/13(日) 02:58:00 ID: Ba0zcF0J


私は捕まれていた右手をふりほどいて、逆に左手でサクヤさんの手を掴んだ。

突然の反撃にサクヤさんはたじろいだ。

「…サクヤさん…何かあるんなら…お願いですからはっきり言ってください…。

 …サクヤさんとは…今までうまくやってこれたと思うし…これからもずっと…

 楽しく暮らしていきたいと思っているんです…。

 ーーもし私がサクヤさんが傷つくようなことを言ったり、

 だ、大事な約束を破ったりしたんだったら、ちゃ…んと謝ります…」

目の奥が熱くなってくる。掴んでいた手がするりと落ちた。

「…柚明?」



ーーサクヤさん。

私の大好きなサクヤさん。

思い返してみれば、私の楽しい思い出にはいつもサクヤさんがいる。

連れて行ってもらったオハシラサマの祭りで大はしゃぎしたこと。

二人でこっそり夜の町に繰り出した時のこと。思い出せばきりがない。


つらい事があった時にもいつもサクヤさんが側にいてくれた。

悩み事があるときはどんな些細なことであっても相談に乗ってくれた。

お母さん達が死んでしまって精神的に不安定だった時にも、

親身になって私のことを励ましつづけて支えてくれた。

あのときサクヤさんがいてくれなかったら私は決して立ち直れなかっただろう。


309 名前: 名無しさん@ピンキー Mail: sage 投稿日: 05/03/14(月) 02:54:50 ID: s251ieSh


今の自分があるのはサクヤさんのおかげだ。

サクヤさん抜きの人生なんて考られない。

それぐらい私にとって大切な人なのだ。


…そのサクヤさんが、まともに口も聞いてくれない…。

そのことは自分自身思っていた以上に堪えていたらしい。

両目に涙がどんどん溜まってくる。

泣いてしまうのはなんだか悔しいけれど、どうにも押さえられそうにない。



「…だ、だから、どうかお願いです…元のように…仲直りしてーー」

ーーぶわっ。

「…ふぇぇん…」

「ーーゆ、柚明!!ちょっと!!」

それ以上こらえきれなかった。滴が一粒こぼれ落ちて…そのまま泣き出してしまった。

膝をついて両手で顔を覆って泣きじゃくる。

「…ひぐっ、それとも、理由なんか無くて…ひぐっ、ただ単に…私のことが、

 う…っとおしく、なっただけなんですか…?ぐずっ…」

これにはサクヤさんもうろたえたらしい。

「ーーち、違うよ!!柚明、そんなのじゃあないんだよ!!ああ〜、ごめんよ!ごめんってば!

 あたしが悪かった、悪かったよ〜!ああ〜だからどうか泣きやんどくれ〜!!」


311 名前: 名無しさん@ピンキー Mail: sage 投稿日: 05/03/15(火) 03:38:26 ID: gYuv6gfx


サクヤさんは私を正面からぎゅっと抱きしめてくれた。

夜泣きの子どもをあやすように背中をさすったり頭を撫でたりしてくれる。

私はサクヤさんの首に手を回し、ふかふかの胸に顔をうずめたまましばらく泣き続けた。



ーーかれこれ20分もしてやっとぐずり泣きが治まってきた。

「…どうだい、柚明?落ち着いてきたかい?」

サクヤさんが優しく尋ねた。…サクヤさんの前で泣いたのなんて何年ぶりのことだろうか。

私のおむつだって替えたことがあるといっていたから、ぐずり泣きぐらい…。

と思っても、やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしい。思わす顔が赤くなってしまう。

「はい…もう大丈夫です。…あの、すみません、パジャマ…」

サクヤさんのパジャマは私の涙と鼻水でぐしょぐしょだった。

「いいんだよ、こんなの気にしないで。ーーそれより、ごめんよ柚明。

 柚明がそんなに傷ついてるだなんて考えもしなかったんだよ…。

 本当にバカだねあたしは。どうか許しておくれ…」

そう、私自身どれほどショックを受けていたのか気づいていなかったのだ。

「いいえ、許してくれだなんて…。ーーそんなことより、サクヤさん?本当に…

 私のことが嫌いになったわけじゃあないんですね?」

「ーー違うよ。…そんなわけないじゃないか…」

ーーうれしいのとほっとしたのとでまた涙が出そうになる。

「…よかった…。わたし、もしサクヤさんに嫌われたりなんかしたら…もう…」

自分、とっても小っ恥ずかしいことをしゃべっている気がする…。


312 名前: 名無しさん@ピンキー Mail: sage 投稿日: 05/03/16(水) 14:13:30 ID: yJFkl77l


「もう〜。ーーこんなに可愛い子を、嫌いになれるわけないだろう?」

そういってサクヤさんは頭をくしゃっと撫でてくれた。

ああ、この人はなんてうれしいことを言ってくれるんだろうか…。

私はたまらなくなって飛びついていった。首に手を回して思いっ切りキスをする。

サクヤさん、突然のことで驚いたみたいだけど、踏ん張って倒れないでくれた。

驚愕で見開かれていた目が、優しくすぼまっていく。

やり場に困っていた両手が、そろそろと背中に回ってきて、しっかりと組み合わされた。

かなりの力がかかっていたはずなのにーーほとんど大人一人分に近い体重を受けているのだーー

サクヤさんはしっかりと支えていてくれた。



しばらくして。

サクヤさんは私をベットの淵に降ろして、自分も隣に座った。

「ふぅ〜、柚明も大きくなったんだねぇ。ちょいと肩が凝っちまったよ。

 あたしも年なのかねぇ…」笑いながら肩をコキコキと鳴らすサクヤさん。

照れ隠しのつもりなのだろうか。

そんなことしても、ほっぺたがまっ赤なのはバレバレですよ。

「ふふふふふ…」

「おっ?なんだい柚明?」

「いえいえ、なんでもありませんよ…。ところで、サクヤさん?まだ聞いてませんでしたよね。

 どうしてあんなにぷりぷりしてたんですか?」

ーー突然うつむいて言葉を濁すサクヤさん。

「………!!いや〜、それはね、その〜〜〜」


313 名前: 名無しさん@ピンキー Mail: sage 投稿日: 05/03/17(木) 12:56:15 ID: RYQC/97m


「どうしたんですか?この際だから、はっきり言っちゃってください」

「………………………………………………

 ………最近…………………っかり………」

「ーーへっ?」

「……最近…柚明、桂の世話ばっかりで、…あたしに構ってくれないから…拗ねてた……」

「…………。?それだけですか?」

「…………それだけ…………」

「…………………………………………………」

「…………………………………………………」

「…くっ、くくく…あはははははは…」

私は思わす笑い出してしまった。何だ、そんなことだったのか。

かわいいなぁサクヤさん。

「……なんだい、笑わなくたっていいじゃないか…」

「…ごめんなさい、サクヤさん、でも…くすくすくす…」

「ーーふん!!もういいよ!!」

そういってサクヤさんはそっぽを向いてしまった。

だって、なんだかうれしくて。それって…。

「ーーそれってつまり、桂ちゃんに焼き餅焼いてたってことですか?」

「……そうだよ」

「桂ちゃんに私を取られて、くやしかった、ってことですか?」

「……ああ、そうだよ」


314 名前: 某→桂パパ ○○→柚明ママ Mail: sage 投稿日: 05/03/18(金) 02:38:20 ID: 8k7dbh2f


そこでサクヤさんはふぃ〜とため息をついた。

「う〜ん…。○○が嫁いでこの家を出ていっちまった時も、

 真弓と某が付き合い始めて、大抵あいつら二人っきりで過ごすようになった時も、

 あんな気分にはならなかったんだけどねぇ…」

ぽりぽりと頭を掻くサクヤさん。

「…いまさらになって、やっとわかったよ。ーー柚明、あたしは…一人の女として、

 あんたのことが…好きなんだよ…」

むこうを向いたままなので、どんな表情をしているのかは窺い知れない。

「………。本当ですか、サクヤさん?その、家族として、とかではなくて?」

「ーー違う!」

サクヤさんはくるっと振り向いて、両手で肩をつかんで、

真っ直ぐに私のことを見据えて、言った。

「違うよ!…笑子さんの孫としてでも、○○の娘としてでもなくて!

 ーーただの一個人として、柚明、あんたのことが好きなんだよ!!」

「…………………………」

うれしい。すっごくうれしい。心の底で、その言葉をずっと待っていた気がする。

ーーやだ、さっきさんざん泣いたくせに、また涙が出そうになる。

これ以上はさすがにみっともない。私は目をごしごしこすってごまかした。

「…柚明?と、突然こんなこといって、脅えさせちまったかい?」

うろたえたのか、サクヤさんは肩から手をぱっと放して後ずさった。

「いえ、違いますよ。…ただ、うれしかったんです…」

サクヤさんにすり寄って、今度は私が両手を肩に載せる。

私は精一杯まじめな顔を作って、言った。

「ーー私も、ついさっき気がつきました…。サクヤさんのことが、好きです…大好きです…。

 その…えぇと…いやらしい意味で…」


316 名前: 名無しさん@ピンキー Mail: sage 投稿日: 05/03/19(土) 00:48:41 ID: Jilkfg70


肩の上の手を、肩から鎖骨、鎖骨から首、首から頬へと滑らせる。

サクヤさんはごくりと喉を鳴らした。

「サクヤさんと、もっと、こういうことがしたいんです…。

 サクヤさんの肌に触って、見つめ合って、キスして、ほかにもいろいろ…。

 ーーふふ、変ですかね?私たち、一応…女同士なのに…。」

「……………………。

 あたしには、何とも言えないよ…。そもそもあたしは人にあらざる鬼なんだしね。

 ただあたしが言えるのは…今、この瞬間、柚明に…して欲しいんだってことだけだよ…」

「…………サクヤさん…………」

いいんですね?と目で合図を送ると、サクヤさんはこくりと頷いた。

ーーサラサラの髪に両手を掻き入れて、頭を固定する。

そのまま口づけしようとしてーーサクヤさんと思わず目があってしまった。

琥珀色の瞳をキラキラ輝かせて、上目遣いに私を見つめている。

そのあまりに純朴であどけない様子に、ちょっと戸惑ってしまう。

「…柚明?どうかしたのかい?」

サクヤさんは不思議そうに尋ねた。

「あの〜、サクヤさん。ちょっと最初は恥ずかしいんで、目…つぶってもらえますか?」

「あっ、ごめんよ」

サクヤさんはぎゅっと目を閉じた。ふるふる震えが伝わってくる。

すぅ〜、と深呼吸。もう一回しっかりとサクヤさんの頭を掴む。

私は頭を少し傾け、ゆっくりと顔を近づけて…サクヤさんの唇に自分の唇を重ねた。


317 名前: 名無しさん@ピンキー Mail: sage 投稿日: 05/03/20(日) 03:53:02 ID: zH0Gluc5




「……んっ……」

「……ふっ……」

ーーさっきのいきなりのキスと違って、今度はしっかりと唇同士が吸いつき合った。

2本の力強い手が頭をがっちり支えている。あたしも両手を背中に回して柚明を引き寄せる。

ああ、今、あたしと柚明は、確かに繋がり合っているんだ…。

ーーこんなことは起こりっこない。…相手は、恩人の孫で、

自分にとっても娘みたいな存在で、…女同士なのだ。

夜、ベットでこっそり想像するだけだったはずのこの光景。

それが、自分の夢物語ではなく、いま現実に起きている。

うう…こういうのを幸せって言うんだろうねぇ…。



「……ふはぁっ……」

ちょっと息が苦しくなったころ、ようやく柚明は口を外した。

かすかに頬が上気している。

あたしはぽ〜とした表情で柚明を見つめていた。

「…もう一回、いきますよ」

一呼吸置いただけで、ふたたび柚明の顔が近づいてくる。

さっきの押しつけるだけのものと違い、今度はついばむようなキスだった。

上唇と下唇を交互に、むにむにと口先で弄んでくる。

なんともいえない感触に、思わず口が開いてしまう。

それを見計らって、柚明は舌を滑り込ませてきた。


318 名前: 後でまとめて書き直すわ Mail: sage 投稿日: 05/03/21(月) 15:11:12 ID: 9VAYQjMk


柚明の舌は口の中を自在に這い回った。

ーーくちゅくちゅ、くちゅっ…。

優しいリズムでかき混ぜ、あたしの舌に絡んでくる。

敏感な所を探られて、つんつんと刺激される。…あっ、そんな奥にまで…。

「あうっ…」

端から涎が溢れ出てしまう。柚明…あんた、かわいい顔して…なかなか…。


「ちゅっ…ふうっ…」

たっぷりと口淫を楽しんだあと、柚明は舌を引っこめた。

垂れたあたしの唾液を指で拭き取ってくれる。

それを口へ運んでぬぐい取って、柚明は満足げに微笑んだ。

「ーーどうでしたか?」

「うん…ちょっとびっくりしちゃったけど…よかったよ…」

「…それならよかった」

柚明はあたしの背後に回ってきた。鼻を頭につけて、すんすんと髪の匂いを嗅ぐ。

ーー脇の下から手が伸びてきて、パジャマのボタンに手がかかった。

「あっ…。いいよ、服ぐらい自分で…」

「ーーダメです!」

柚明があたしの言葉を遮った。言葉に少し熱っぽい響きがある。

「私が…脱がしたいんです…。いいですよね?」

耳に口を近づけて色っぽくつぶやいてくる。生暖かい息が耳たぶにかかってこそばゆい。


319 名前: 名無しさん@ピンキー Mail: sage 投稿日: 05/03/22(火) 03:18:21 ID: Fkqp3WP9


「ね?サクヤさん?ね?」

「う、うん、わかったよ」

いつもとちょっと様子が違う柚明になんだかどぎまぎしてしまう。

ーーぷちっ、ぷちっ。

ボタンが一個いっこ外されていく。だんだんと開いていく胸。

少し汗ばんだ肌に風が当たって気持ちいい。

「右手、ちょっと上げてください」

言われたとおりに右手を上げる。しゅるしゅる…。心地よい衣擦れの感触。

柚明はやさしく、ゆっくり、あたしの腕をパジャマから引き抜いた。

完全にあらわになる上半身。

脱がせたものをベットの下に落としたあと、柚明はあごを右肩の上に乗せてきた。

そこからあたしの胸をのぞき込んでくる。

「サクヤさんの肌、きれいですね…。白くて、すべすべしていて。

 うらやましい。…胸も、大きくて、つんと上を向いていて…」

赤ん坊の頃からの付き合いなんだから、柚明には何度も見られているはずなんだけど。

こうして服を脱がされて、じ〜っと鑑賞されて、声に出して言われるのは、

恥ずかしいのやらなにやらでゾクゾクしてきてしまう。


320 名前: 名無しさん@ピンキー Mail: sage 投稿日: 05/03/23(水) 03:58:46 ID: ja8rf8RQ


「…そんなに硬くならなくて大丈夫ですよ…」

あたしの長い髪の毛を手で梳きながら柚明が言った。

そうはいっても。思わず身体がこわばってしまう。

ーー柚明の手が髪から肩へと滑り落ち、そのまま両腕を撫ではじめた。

肩から手、手から肩。あたしの緊張をほぐすように、微妙な力加減で何度も何度も往復する。

しっとりとした手のひらが吸い付くように肌の上を滑ってくる。

まるでシルクのような心地よい肌触りにあたしはうっとりと目を閉じた。

「ーーどうですか、サクヤさん?」

「うん…。…すっごく、気持ちいいよ…」

心地よい浮遊感…。身体からだんだんと力が抜けていくのがわかる。

しばらく腕を撫で回したあと、柚明の手は鎖骨のあたりに到達した。

くぼみ、首筋、あご、うなじ。さっきと同じように何度も滑らせてくる。

背中と脇腹もたっぷりと愛撫したあと、柚明の手はじわじわと身体の中心に向かってきた。

両胸が柚明の可愛らしい手で包まれ、思わず口が半開く。

柚明はわざと先っぽを避け、ぐるぐると螺旋を描くようにしてその周りを撫でてくる。

指の腹が先端にこすれるたびに、しびれるような感覚が身体を貫く。

首が段々とのけぞってしまう。柚明は張りつめた首筋をちろちろと舐め上げてきた。

「ーーサクヤさん、我慢しないで声を出してください」

「…で、でもーー」

「いいんですよ。気持ちがいい時には、恥ずかしがらないで…」

そういって柚明はきゅうっと乳首をつまんだ。

「ーーーあぅ!」

「そうです、大丈夫ですから」


321 名前: 名無しさん@ピンキー Mail: sage 投稿日: 05/03/24(木) 03:10:04 ID: dyt9My70


耳たぶがはむっと口に含まれた。軽く甘噛みしたり、ついばんだり。

舌を奥まで差し入れ、ぴちゃぴちゃと唾液を塗りたくってくる。

耳の中にこだまするいやらしい湿音が平常心を奪っていく。

口はそのまま動かし続けながら、柚明の手はあたしの胸を揉みはじめた。

ーーふにっ、ふにっ。

ゆったりとしたリズムで柔肉を揉みほぐしていく。

ぴょんと突き出た先端が親指と人差し指でこすられる。

「ふぅっ!…あっ…」

「…いいです…もっと、聞かせてください…」

湿り気を帯びた息を耳にかけられる。柚明の息も少し上がっているようだ。

そのまま前のめりに押し倒される。あたしを仰向けにひっくり返すと、

柚明は上から覆い被さってきた。

「サクヤさんの胸…。横になっても形が全然崩れてない…。すごい…。

 見えますか?」

言われて見下ろした瞬間、柚明はこっちを見ながら乳首を舐めてきた。

恥ずかしいのと気持ちいいのとが入り混ざって、思わず顔を背けてしまう。

柚明は乳首を執拗に攻めはじめた。

ちろちろ舐めたり、舌先でころころと弄んだり、口をすぼめて吸い上げたり。

そうされるたびに、とろけてしまいそうな快感が体中に走った。


322 名前: 名無しさん@ピンキー Mail: sage yuri 投稿日: 05/03/25(金) 22:12:02 ID: ZyM3pp03


人差し指と親指が太腿をさまよい、ついに敏感な場所に到達した。

パジャマ越しに溝を撫でられ、くぐもった声が漏れる。

「ひぁっ…」

「ーーサクヤさん、恐いですか?」

…ううん、大丈夫、恐くない。柚明になら…。あたしはふいっと首を横に振った。

ズボンとショーツがはぎ取られる。大事な場所を完全にむき出しになる。

「あ…サクヤさん…こんなに…」

ふぅ〜と息を吹きかけながら、柚明がつぶやく。

「言わないどくれ…」

割れ目が直接撫でられた。触れるか触れないかのタッチで何度も往復させてくる。

柚明はふくらみ始めた蕾の上でだけ指先をふるわせた。

気が…遠くなりそうだ。気持ちよさにあえぐ自分の呼吸が部屋に響き渡る。

ーー柚明の指が、するりとあたしの中に入り込んできた。

「ーーああっ!!」

入り口を丹念になぞられる。そこでしばらく慣れさせたあと、柚明は奥まで指を滑り込ませてきた。

膣をしごくようにして刺激される。ひくひくと恥部が震えている。

「はぁ…私も、もう…」

柚明がだんだんスピードを上げていく。生き物のようにくねくね動き回る柚明の指。

頭に霞がかかって、何も考えられなくなる。

柚明の口が近づいてきて、蕾を思いっ切り強く吸われた。

「…ひゃ、はうううぅぅ!!」

その瞬間、意識が遠くなり、あたしは深い快楽の底へと落ちていった。


323 名前: 名無しさん@ピンキー Mail: sage 投稿日: 05/03/25(金) 23:07:43 ID: ZyM3pp03




ーーぱちっ、ぱちっ。

「ーーあ、気がつきましたか?サクヤさん」

「…う〜ん……柚明?あれ?」

ふと目を開けると、目の前に柚明の顔があった。???上のほうからあたしの顔をのぞき込んでいる。

頭に当たる柔らかい感触。…どうやらあたしは柚明の膝枕で眠りこけていたらしい。

あれ〜?何だろうかこの状況は。一応、あたしのベットの上みたいだけど。

身体に残る心地よい疲労感。昨日は一体何があったん…

ーーとそこで、完全に記憶がよみがえった。そうだ、昨日は柚明が部屋に来て…その後いろいろあって…。

「………!!あ、あたし、あのまま、ーー気絶、しちまったのかい?」

「…そうですよ…ふふふ…」

柚明に…気持ちよくさせされて…。それって、俗に言う「イカされた」「昇天させられた」

ってやつではないだろうか…。

「…はぅ〜〜…」

柚明の顔を直視していられなくなり、ごろりところがってそっぽを向く。

「あ、サクヤさん、恥ずかしがらなくて大丈夫ですよ。サクヤさんの寝顔、

 とってもかわいらしかったですから…」

いや、そっちでなくてだね…。

ーーどうやら、あたしが眠っている間に服も着させてくれたらしい。なんだかなぁ…。

膝の上のあたしの頭をぽんぽん叩きながら柚明が言った。

「サクヤさ〜ん、私、思うんですけど…」


325 名前: 名無しさん@ピンキー Mail: sage 投稿日: 05/03/26(土) 14:20:22 ID: CyQScs+s


「ん?なんだい?」

「ーーやっぱり、ちょっと…大人げなかったんじゃありませんか?

 …相手は桂ちゃんですよ」

ーーずがっ!…まぁ、確かにそうだよねぇ。

「う…。ごめんよ。くだらない意地張って、柚明のこと傷つけて…。

 確かにあたしがガキだったよ。幼稚園児相手にむきになって…。

 …でも、ーー本気で…寂しかったんだよ…」

「…はいはい。サクヤさんは、本当に甘えん坊さんでさびしがりやさんなんですね…。

 よちよちよち…」

ーーどてっ。…ゆ、柚明〜、一応あたしにも、大人としての…。

…まぁ、いいか。たしかにあたしの性格は柚明に言われたとおりなんだしね…。

こいつの前でぐらいありのままの自分でいてもいいよね…。

というわけで、あたしはまどろっこしいこと考えるのはやめて、

柚明に思いっ切り甘えさせてもらうことにした。むちむちした太腿に思いっ切り頬擦りする。

「柚明ぃ〜、桂ばっかりに構っちゃ嫌だよ、ちゃんとあたしにも構っておくれよ…」


326 名前: 名無しさん@ピンキー Mail: sage 投稿日: 05/03/27(日) 16:11:08 ID: py9cNaHg


「ちゃんとそうしますから。それじゃ、はいっ、今は好きなだけ…どうぞ」

柚明は両手を広げて「どうぞ」のポーズを取った。

それでは、お言葉に甘えて。柚明の発育のいい胸に顔からダイブする。

ーーふにゅっ。

う〜ん…。柔らかくて、あったかい…。いい気持ち…。

なんだかまた眠くなってきてしまう。

「………………………………………………」

「………………………………………………」

「………あっ、でも、サクヤさん」

「………んぁ?」

「………もうそろそろ起きて行かないと…みんなもうすぐーー」

「ーーダメ。もうちょっと」

「………………………………………………」

「………………………………………………」

ーーもそもそ…。

「………柚明ぃ、おっぱい吸っちゃだめかい?」

「………………それはまた今度…………………」

「………………………………………………」

「………………………………………………」


327 名前: 名無しさん@ピンキー Mail: sage 投稿日: 05/03/27(日) 17:12:37 ID: py9cNaHg


「………なぁ、柚明…」

「………なんですか?」

「…な〜んも包み隠さないで、思いっ切り甘えられる人がいるって…。

 いいもんだねぇ…」

「ふふふ、そうですね…。でも、自分に思いっ切り甘えてくれる人がいるっていうのも、

 …すっごくうれしいことなんですよ」

「…そんなものかねぇ」

「そういうものですよ…。ーーあの、もし嫌じゃないなら…

 私は…寂しがりやなサクヤさんの側に…最後まで…いてあげますから…」

「ーー!!…あ、ありがとう…」

不覚にも涙腺がちょっと弛んでしまった。うう〜、こんな言葉、誰かに一度言われてみたかったんだよねぇ…。

「…そのかわり、サクヤさんも私のこと、大切にしてくださいね…」

「…するよ!するする、絶対に大事にするよ!泣かせたりなんかしない!

 たとえどんなに悪い奴が来ても、あたしがあんたを…守ってやるから!」

ーーと、乳に顔をうずめたまま言っても説得力ないか。

あたしは顔を胸から離して(ちょっと名残惜しかったけど)、小指をすっと差し出した。

ちょっと子どもっぽいけど…一応誓いにはなるかな。

「ほらっ、指切り…」

柚明もくすっと笑って小指を絡ませてきた。


328 名前: 名無しさん@ピンキー Mail: sage このちょっと後に柚明さんは…(⊃д⊂) 投稿日: 05/03/27(日) 18:38:29 ID: py9cNaHg


「ーーあたし、浅間サクヤは、どんなことがあろうとも、

 この羽藤柚明のことを…大切に…守ることを誓います…」

「ーー私、羽藤柚明は、…たとえどんなことがあろうとも、

 この浅間サクヤの…そばにいてあげることを誓います…」


ーー指切りげ〜んまん、嘘ついたら、針千本の〜ます。指切ったっ…。


この言霊の力で、柚明とあたしの絆はよりいっそう強くなったはずだ。

「…ふふふふふふふ…」「あはははははは…」

「……ちょっとこそばゆいですね…」「うん…」

柚明の顔はほんのり桜色。あたしの顔は…多分真っ赤っか。

「サクヤさん、これから、もっといろんな楽しいことーー」

ーージリリリリリリリ!!

…と、こんな時に限ってにあたしの目覚ましが鳴り出したのだった。

うが〜!!どんな二日酔いがひどい朝でも、この音をこれほどうざったく思ったことはない!!

目覚ましをぎろりと睨みつける。そんなあたしの様子を見てくすくす笑っている柚明。

たたき壊そうとして振り上げた手を掴んで、そっと自分の太腿の上に乗せた。

「ーー今日は、ちょっぴり寝坊していきましょうか?」


                               ーー僅かの蜜月ーー