537 :葛と遊ぼう:2009/09/21(月) 22:56:34 ID:isGd90w8

羽様の屋敷にやって来た桂は

そこで、幼女葛と出会い、サクヤとも久々に出逢った。

サクヤは用事があるらしく、今日は屋敷にはいない。

「ふあ〜暇だよう」

ゴロゴロと畳を転がる桂。

「でもたまには何もしないという贅沢も、」

「うわーーーーーーーーーーーー!!!」

「わっ」

突然の慟哭に桂は微妙に驚き体を起こすと

葛が部屋に急いで入ってきた。

「わー」

ついでに出したように小さく葛は叫んでいる。

ひょっとして構って欲しいのかと思い、話しかける。

「どうしたの葛ちゃん?」

「あー聞こえていましたか、私の心の叫びが」

「へぇ」

あえて深くは突っ込まない桂。

「こんな生活ばっかりは嫌です」

「こんな生活って?」

「具体的にって言われると困りますけど、もっと

若者らしくハメを外したいとか思いませんか?」

なんか物騒な事を葛は言う。

「そんな事特に思わないけど」

「分かりました。出掛けましょう。サクヤさんが居ない内に」

「わっ、葛ちゃん強引だ…でも残念、私お金あんまり持って、」

「諭吉、ビーム!」

 葛の片手から一万円札が数枚出され、それが扇のように広げられる。

「デート代は私持ちですよ、桂おねーさん」

「わー行くー」

その日の葛は気のせいか、桂には小金色に輝いて見えていたという。


バスにのり商店街に着くと葛とぶらぶら歩き、クレープを買おうとする。

「このクレープ大きいですねぇ」

「じゃあ、二人で一個を食べようか」

「おぉ…いいですねぇ」

クレープを葛が買うと葛はそれを口を大きくして一齧り。

「美味しいです」

「葛ちゃん前ちゃんとご飯で栄養取った方がいいって

言って無かったっけ?」

「たはは、たまにはいいんですよ、たまには」

葛はクレープが気に入ったのか口の周りがクリームに

汚れるのを気にせず食べ続ける。

「葛ちゃん、ほっぺにクリームついてるよ」

「あっ」

桂は頬についたクリームを直接舐め取る。

「くすぐったいですよ、おねーさん」

「適度な塩加減が美味しゅう御座います♪」

「おねーさんのえっち…はいどうぞ」

クレープを手渡す。

「いただきます。あ、食べながら移動しようか」

「はい!」


538 :葛と遊ぼう2:2009/09/21(月) 22:58:22 ID:isGd90w8

食べながら移動するが特に目新しいものは無く、ただ歩き続ける。

「ご馳走様でした。葛ちゃん」

葛に両手を合わせると葛は何処かを見て立ち止まる。

「桂おねーさん、あれは何ですか?」

葛の視線の方向に目をやるとその施設の中にUFOキャッチャー

等、見慣れた機器があり、ゲームセンターのようだった。

「ゲームセンター、略してゲーセンだよ」

「ああ、噂には聞いていましたが、これがゲームセンターですか」

「そうです、そうなのですよ!」

桂が変な口調で答える。

「やばそうな空気ですね、大丈夫ですか?その、やんきいとか

れでいすとか言う生物がいるんじゃないですか?

行く前にナイフでも装備しますか?煙草投げられちゃいますよ?」

「妙な偏見。大丈夫だよ、多分」

「たぶーん?不安ですよ」

「いいからいいから」

葛の手を引っ張って桂がゲームセンターに入るとそこには誰も居なかった。

いや、奥に管理する人がいるかもしれないが、客らしき人間は誰もいなかった。

「杞人の憂いでしたね…」

「へへー早速ゲームしようか」

「のりのりですね、おねーさん」

「だって久しぶりだもん」

桂は早速あるゲームを見ている。

「わー懐かしいダンレボだよダンレボ。私が小学生位だったかな?

その頃に流行ったゲームだよ」

「足元に矢印が4つありますね…これをおせばいいんですか?」

「そうだよ、私も簡単なレベルならできるよレベル4位だけど

よ〜し踊っちゃうぞー」

「おお〜」

桂は軽快な音楽と供にぴょんぴょん跳ねる。そしてその度に

桂の縞々パンツがお見えになる。

「おお〜」

葛が低い身長を屈んで更に背を低くする。

「ぴょん、ぴょん」

しましましまぱんが跳ねる度に見える。

「おおお〜」

「ぴょん、ぴょん」

「おおおおお〜」

暫くこんなのが続いた。


539 :葛と遊ぼう3:2009/09/21(月) 22:59:17 ID:isGd90w8

「ふぅ…楽しかった」

「私は興奮しました」

「じゃあ次はこれにしよう!」

桂が指差した方向に葛が目をやる。

「これは何ですか?」

「これは、エアーホッケーです。ささ、葛ちゃんは

そっちに」

「ああ、はい」

桂がお金を入れると、台に無数に開いた穴から空気が出て来て。

葛の方からプラスチックの円盤が出てくる。

「ルールの説明ね、まずお互いが持っている鉄板に油敷くみたいな

ものを、」

がん。桂の溝に円盤が入り得点が入る。

「ルールは何となく分かります。

その溝に入れればいいんですよ、」

がん。葛の溝に円盤が入り、得点が入る。

「な、何するんですか桂おねーさん!」

葛が円盤を打つ。

「先に仕掛けたのは葛ちゃんだよ!」

桂が円盤を打ち返す。

「勝負は非情なものですよ!」

「なにを〜!」

暫くラリーが続き、お互い余裕が出来る。

「こう言う風に動く物を忙しなく打ち返してると

ネコにでもなった気分ですよ」

「そうだにゃ〜。なんちゃって」

桂が冗談でそんな事を言う。

「おお〜なんか桂おねーさんその語尾可愛い

ですにゃ」

「有難うですにゃ〜」

「いえいえですにゃ」

「楽しいですにゃ〜」

「「にゃにゃにゃにゃ〜」」

二人が意味不明な哄笑を浮かべる。

「何やってるんだろう私達」

「全くですよ」

二人が我に帰ったのと同時にエアーホッケーの

空気供給が止まった。


「えい、えい、えい」

もぐら叩きを楽しむ葛はスピードを増す、もぐらくん

達に苦戦する。

「こうなったら必殺、二刀流!

にゃにゃにゃにゃにゃにゃ〜」

「さっきと同じじゃないですか…」

冷静になりゲームを終えると桂は少し離れた所で

別のゲームをしていた。

『じゃんけんぽん、ぽん!』

「あらら、負けちゃった」

見れば、桂はじゃんけんのゲームをしていた。

「じゃんけんなら人同士でもできるじゃないですか」

「あはは…懐かしいから、つい」

『おーい、オラと一緒に遊ばねぇか?』

電話型のゲームからそんな音声が響く。

「わー懐かしい懐かしい!!

ね、ね、葛ちゃん。凄く懐かしいよ、私が幼稚園の

時位に遊んだ奴だー」

桂がとても興奮して何度もそのゲームを指差す。

「じゃあ私は全く知りませんよ…」


540 :葛と遊ぼう3:2009/09/21(月) 23:00:03 ID:isGd90w8

「キラキラのカードゲット〜」

さっきの電話機型のゲームで手に入れたカードを

葛に見せる桂。

「はいはい、良かったですね。

ですが、どうもダークな感じがしないんですよね。

もうちょっとこう、危険な香りのするゲームを」

「そんなの無いよ」

「あ〜…そうですか、おや、あれは何ですか?

麻雀ゲームですか?可愛い女の子と打てるみたいですよ」

「あ…これって脱衣麻雀じゃあ」

「だついまーじゃん?」

「麻雀で勝ったら女の子を素っ裸にしちゃう奴だよ」

桂が恥ずかしそうに言うと、葛が急いで100円を入れる。

「葛ちゃん!」

「麻雀のルール位知ってますよ」

「いやいや、そうじゃなくて、エッチなんだよ?」

「エッチな事に興味の無い人間なんていません。

私も多分に洩れません」

「私も、エッチな事、興味あるよ?」

「えっ!!あ…いえなんでも…」

冷静を装おうとするがそれが帰って互いを

気恥ずかしくさせて、二人は顔を真っ赤にする。

「さー麻雀です、麻雀!見てて下さいよー。

私の麻雀はスゴイですよー数秒で素っ裸ですよー」

親はコンピューターである。

「ツモ、天和」

声優の可愛らしい声が響く。

「え!?」

ゲームオーバーになる。

「あれ、すぐに終わっちゃったよ、何で?」

「珍しい事がおきたんですよ、偶然ですよ偶然。

もう一回!」

「ツモ、天和」

ゲームオーバーになる。

「あーーーーーーーーーー!

詐欺ですよ!こんなの詐欺ですよ!天和ですよ?

33万分の1ですよ。それも2回ですよ。ホールインワンよりも確率が

低いんですよ。わーーーーーーーー!」

ちなみに、米国ゴルフレジスター という団体によると

ホールインワンは3万3千分の1だそうな。

「葛ちゃん、落ち着いて」

「潰してやる、こんな会社いつか潰してやりますよ!」

「葛ちゃん、落ち着いて」

「はぁはぁ…あー裸見たいですよ。あ…良い事思いつきました」

葛がじっと桂を見る。

「どうしたの葛ちゃん…怖いよ」

「屋敷に帰りましょう」

葛は急いでバス乗り場へ向かった。


541 :葛と遊ぼう5:2009/09/21(月) 23:00:31 ID:isGd90w8

「葛ちゃ〜ん」

「ははは桂おねーさん」

屋敷に帰った二人は裸になり、外へと駆け出した。

これは葛の案で桂も最初はいやがったがよく考えると

こんな所に人などそんなに来るはずも無く、その

開放感も悪くなかった。

「えい、えい」

「やりましたねー桂おねーさん」

川を見つけて二人が水を掛け合う。

暫くそうしてから二人は川から顔を出した石に座った

「私、気付きました」

「何に?」

「私はきっと、桂おねーさんがいればきっとどこでも

楽しいって事に」

「私も、それに気付いたよ」

「桂おねーさん…」

「私も桂がいればそれで楽しいねぇ」

突然の声に二人が振り向くと、全裸のサクヤがそこにいた。

「私も、二人を見て解放的になりたくなってさ」

サクヤは帰ってきた途中で裸の二人を見たのだ。

「そうですねー」

「よかったねーサクヤさん」

二人は白けた顔で明後日の方向を向いた。

「わ…私も解放的に…」

木の陰から誰か見ているが、そこには触れない事にしよう。

おわり